初めての夜に・・・
無事にチェックアウトを終え、車は出発した。
北海道の道を運転してみたいとカオルが言ったので
運転はカオルに任せた。
高速に乗らずに国道を使いのんびりと車を走らせ、
いつもなら車が混んでいてイライラするはずの道も
今日はなんだか楽しい気分で車に乗っていた。
ヤスとの待ち合わせにはまだかなり時間があり、
ミライは仕事が夕方まであるので直接待ち合わせ場所に行くとメールが入っていた。
「どこか行きたい所ある?まだ時間あるし」
そう聞くとカオルは
「そうだなぁ・・・ホテルに車停めて街に出ようか?
チェックインには早いけど荷物とかもあるし、
そのほうがゆっくりできるよな。ヤスに電話してみてよ」
ヤスに電話するのはちょっと気まずい感じだったが、
ホテルの場所も名前もわからないので、仕方なく連絡をしてみた。
「もしもし。ヤス?今大丈夫?あのぉ、、思ったより早く着くから
ホテルに車停めたいんだけど、住所教えてくれる?」
なにをツッこまれるかドキドキしながらいつもより優しい口調で聞いた。
「えーと。住所は・・・・・・あ。ごめん、今営業先でさ、
折り返し連絡するよ。ごめん」
そう言ってヤスの電話は切れた。
よかった・・・・
ニヤニヤと話をアレコレ聞かれると思ったので
仕事ですぐ切ってくれたことがありがたかった。
「今、仕事中だって。折り返し連絡くれるって」
そう言うとカオルは「そっか」と言い煙草を吸った。
「で。どうする?」
煙草の煙を少し開けた窓のほうに吐きながらカオルが言った。
「ん?」
「俺達のこと。どうする?」
「どうするって?なにが?あ!ヤスの言い訳ね。えーと・・・」
「いや違う。俺と付き合ってみる?それともやめとく?」
いきなりそんな話題を振られると思っていなかったので驚いた。
「付き合ってみる?・・・って・・・カオルは?」
「いや。俺はOKだよ。でもリオはなんとなく昨日とかも
俺のこと警戒してるからさ。だから嫌ならしつこくはしない」
警戒と言われても、、、、
先に寝たのは自分のくせに。
「そんなに警戒してるように見えた?だって先に寝たのは自分の
ほうじゃない。あたしなんか、、、、どうしていいかわからなくて
しばらく寝付けなかったのに・・・いや、、寝たけど、、」
まともにカオルの顔を見ることができないまま、何も無い
外の景色を見ながら言った。
「俺。昨日寝てないよ・・・・」
「え?嘘ばっかり!すぐ寝てたじゃない!」
「寝れるかよ、、、あの状態で。お前は男を分ってないなぁ」
そう言われてカオルの顔を見たら、確かに目が充血してるようにも見えた。
「運転交わろうか?少し寝たほうがいいんじゃない?」
「いや。結構大丈夫だからいいよ」
「どうして寝てないの?狭かったとか?」
てっきり熟睡してると思っていたので、途端に心配になった。
「あのさ、、、普通隣に女が寝ていて熟睡できるかよ、、、
普通は寝ないだろさ、、、あんな状態で!」
「だって・・・「寝るだけ」って言ってたし。
寝息も聞こえたからてっきり・・・」
「ここに寝てください。襲いますからって言える状態だった?
ったく、、、、あれからコッソリ起きてベットの頭の電気を
つけたら安心したような顔してスースー寝てる顔見て襲えるかって」
「あ・・ごめん。でも、、、カオルはそんなことするようには
見えなかったから、、、なんとなく・・・」
「俺がいい人でよかったですね。悪い男なら大変だったぞ。
写真撮られて金まで強請られるぞ。まったく」
敬語がちょっと皮肉っぽっかった。
「ほら。やっぱりそんなことする人じゃないでしょ?」
「ったく、、、もしも襲ってたらどうすんだよ!」
「そうだなぁ・・・・あの場では断れなかったかなぁ?」
「マジで?もしかして待ってた?」
「待ってはいない!けど、、、ん〜、、わかんないや」
「なんだそれ」
そう言いながらクスクス笑った。
けど実際は、なにかあると思っていた。
でもあっけなく何も無かったことで、あたしはカオルのことをちょっと信用した。
すぐヤリたがる男ではないのだと。
もしかしたら間が悪いだけの人かもしれないけど・・・・
「カオルがいいなら、付き合ってみようかな」
まだそれほどカオルのことを知っている訳じゃないけど、
見た目も雰囲気も悪く無い。
実際、逢ってしまえばもう普通の出会いだ。
知り合ってからの期間を考えれば、もう1年以上になる。
そして一番にこんな遠くまで逢いに来てくれたことに
内心感動してる自分もいた。
飛行機で1時間半も離れた所にいる人が、あたしなんかの為に
来てくれた。。。。
そのことに実は物凄く感動していた。
「ん。じゃ彼氏ってことでよろしく」
カオルのポツポツと話す話し方が好きだ。
必要なことしか言わないこの言い方が。
いつもニコニコしている目も好きだ。
きっとこれからもっと良いところが見つかるんだと思う。
こんな付き合い方は初めてだけど、これもまぁいいか。
ヤスからホテルの住所の件でメールが入った。
まだ取引先にいるみたいで、電話ができなかったようだった。
その住所を頼りにホテルを探して車を走らせた。
街中が少し渋滞していることもあり、ホテルに到着したのは
1時少し過ぎていた。
「まだチェックインには早すぎるよね?どうしよう・・・」
そう言いながら、車だけでも停めさせてもらえないか聞こうと
いうことになりフロントに行った。
受付の人は名前を言うと手早く予約の紙を見て
「田中様からお伺いしております。チェックインも少し早いですが
よろしいですよ。こちらの宿泊カードにお記入ください」と言い
部屋の鍵の用意を始めた。
後ろで見ていたが、自分の分も書こうとカウンターに行くと
「いらっしゃいませ」とだけ言われ、あとはニコニコしているだけで
あたしにはなにもアクションを起こしてくれなかった。
「あの、、、あたしの分のカードは?」
そう聞くと受付の人は「あ。お一人様の記入で結構です」とだけ言い鍵を渡してくれた。
「では。お部屋は708号室になります。お荷物は係の者が」
そう言うと愛想の良い係の人が荷物を持ってくれて部屋に案内してくれようとしていた。
「えっ?あの、、、あたしの部屋の鍵は?」
「え?田中様からは一室だけと聞いておりますが・・・・
もう一室必要でしょうか?ダブルと聞いておりましたが?」
また不思議な顔をされた。。。。
横からカオルが
「あ。いえ。いいんです。一室でいいです。すいません」
そう言うと手を引いてエレベーターに係の人と一緒に乗った。
部屋に着き「何かありましたら。フロントにご連絡ください」と
係の人は荷物を置き帰っていった。
パタンとドアが閉まった。
あたしは何も言わずに黙っていた。
「マズかった?」
そう言ってカオルがこっちを見た。
「もしかして、、、昨日の時点でヤスと話をしてたとか?」
「いや、、その、、、なんていうか、、ヤスが勝手に
「ダブルで予約しとくからよ!」って言われてさ、、
あの場で断る時間もなくて、、うんって言っちゃって」
「そうなんだ・・・・最初からそのつもりだったんだ」
なんだか二人にハメられた感じがしてちょっと腹が立った。
黙ったままのあたしを見てカオルは慌てて
「もし嫌なら俺ヤスの部屋に泊まるからさ。そんなに怒るなよ」
と言い、バツの悪そうな顔をした。
ちょっとした怒りもあったが、それよりも現実的に
「今夜ね!」という感じに内心動揺していた。
さっき付き合ってもいいよとOKしてしまった以上、断ることができないとも思った。
「じゃあ俺、ヤスの部屋に泊まるからさ。な?ならいいだろ?
最初から喧嘩とかしたくないから機嫌直してくれよ」
別にカオルが悪い訳では無いのでこれ以上怒るのも可哀相になり
腑に落ちないが「うん」と頷いた。
荷物を置き、二人で街に出た。
お昼がまだだったので食事をし、その後カオルが好きなブランドの
洋服を見たり、雑貨を見たりとさっきの嫌な雰囲気も無くなるほど
楽しく買い物を満喫した。
携帯が鳴り画面を見るとミライからだった。
「もしもし?」
「あ。リオ?あたしー。今終わったから〜 どこにいるの?」
「えーと。西武デパートにいる。どこまで行けばいい?」
「あ。ヤスと落ち合うから、まだ買い物してていいよ。
カオルも一緒でしょ?じゃあ1時間後に大通りで待ち合わせする?」
「うん。わかった。じゃあ駅前通りの噴水の辺りにいるね。
気をつけて来てね。じゃ、後で〜」
電話を切り電話の内容をカオルに伝え、デパートを出て
10分も歩くと待ち合わせの場所についた。
「まだ時間早かったね。もうちょっとどっか見て来る?」
「ううん。天気もいいし。ちょっと疲れたからゆっくり待つのも
いいんじゃね?ここなら芝生の上でも座っていんだろ?」
そう言ってカオルは芝生の上に倒れこみ眠そうに目をこすった。
「昨日、、、寝てないんだもんね。ごめんね」
「ん?いいって。俺が勝手に寝なかっただけなんだしさ」
そう言って目を瞑った。
「カオル、、、膝枕で寝ていいよ」
「へ?どうしたの?なに言っちゃってんの?」
「嫌ならいいんだけど・・・そのままじゃ寝づらいかなって。
睡眠不足もあたしのせいだし・・・」
「じゃ。遠慮なく〜」
そう言って伸ばして座っていたあたしの足に
コロンと頭を乗せ「あ〜、、、寝ちゃいそう」と言って目を瞑った。
何分もしないでカオルは寝てしまった。
周りを見るとカップルや親子連れが楽しそうにしていた。
後ろの木に寄りかかりながら、そんな景色を見ていると
こっちまで眠くなってきた。
結局昨日は寝たのは4時頃だと思う、そして起きたのが7時半。
眠くない訳ないよなぁ・・・
一人で外で居眠りなんかできないけど、こうして二人でいると
そんなことも簡単にできてしまうんだなと思った。
カオルの寝顔を見ながら目を閉じた。
「お二人さん!お疲れだね!」と突然肩を揺すられ目が覚めた。
横にはミライと目の前にはヤスがニヤつきながら立っていた。
慌てて立とうとして膝枕をしているカオルの頭が芝生に落ちた。
「いってぇ・・・」
「あ。ごめん・・・」
「あ。ヤス、、、あ。ミライ? ども!」
そう言ってカオルは目を擦りながら笑って挨拶をした。
ヤスとミライは明らかに二人の居眠りを勘違いしたように
ニヤニヤとあたし達を見た。
用意した言い訳をしたが「あっそ」と取り合ってくれなかった。
と、いうよりそんなこと信じるか!というような顔をして
こっちが言えば言うほど疑いの目は増していった。
「じゃ、行こうか!」そう言ってヤスが歩き始めた。
「あ。待ってよ〜」とミライが続き、ヤスのほうに走っていった。
その後ろ姿を追うようにあたしとカオルは歩きだした。
「寝ちゃったね」と二人で笑い前を見ると、ミライとヤスは腕を組んで
歩いていた。それもかなり親しげに・・・・
お互い目を合わせ「え?え?」と言いながらその光景を見ていた。
ヤスが振り返りニヤリと笑った。
そのズルそうな笑顔で二人の関係がわかった気がした。
他のメンバーと待ち合わせをした場所に着いた。
今日は先にハヤとタツヤが到着していた。
ヤスとカオルは二人と合流し、スッカリ意気投合し騒いでいた。
ミライの横に座り小声で
「もしかして、、、ヤスと?」と聞くとニコニコ笑いながら
「だってヤス押しが強くって〜 でも見た目も性格もいいし、
いいかな〜って・・・・でもリオもカオルと付き合ってるんでしょ?」
と痛い所を突かれて、何もいえなかった。
「いつからヤスと付き合ってるの?全然知らなかった」
「えーと、、、オフの2週間後にまた北海道に仕事で来てたのね。
で、電話きて食事して〜・・・・で。それからかな?」
まったくそんなこと思ってもいなかった。
ヤスがミライを気に入ってたのは知っていたが、影でコソコソと
そんなことになってるなんて。
さすがヤス、、、、抜け目がない。
飲み会はとても楽しく盛り上がり、2件目にお洒落な洋風居酒屋に
場所を移した所でヤスがみんなに
「俺、実はミライと付き合ってんだ。だからチョクチョクこっちに
来るから、またそん時は飲もうな!」と自らネタバレをした。
ハヤもタツヤも驚いていたが、
「そうなんだ〜 よかったな〜」と言って祝福した。
カオルと目が合ったが、あたしはなにも言わなかった。
なんとなくみんなに公表することが、いいことなのか悪いことなのか
ちょっと考えた。
カオルは声に出さないが口の動きで「言う?」と聞いていた。
みんなに気づかれないように「ううん」と首を振った。
隣でその仕草をコッソリ見ていたヤスはなにも言わなかった。
しばらくしてヤスが隣に座ってきて
「お前等付き合ってないの?」と聞いてきた。
「え?付き合ってないよ」と嘘を言った。
「なんで?カオルとコッソリ会ってたじゃん!」と言うヤスの口を
大慌てで塞ぎ「その話はまた今度。ここでは内緒に」というと
「ふ〜ん。まぁカオルもあんまり自分から話すほうじゃないしな。
まぁ気が合ったなら付き合ってみるのもいいと思うぞ」と言ってポンと肩を叩いた。
別に隠すつもりがあった訳じゃないが、
ここでヤスもカオルもとなると、その後のチャットがやりにくいものになるような気もした。
やはり部屋の中に何組もカップルがいるのは他の人にとって気を使うものだと思うし。
言ったからなんだということもないし・・・
自然とバレるまでわざわざ言うことでも無いなと思った。
二件目でかなりの時間飲んでいたせいで、時間はすでに2時を
過ぎていた。そろそろ解散だなということになり、みんなで外に出た。
タツヤとハヤは家の方向が一緒だとタクシーに乗り、残った4人で2人を送った。
ホテルまで歩いて帰ろうとすると、ヤスがまたタクシーを止め
「じゃ。俺今日はミライの家に泊まるから。また明日連絡するわ」と
言ってこっちが何も言えないうちにドアが閉まり、二人で手を振って消えていった。
カオルと二人で夜の街に残された。
「じゃ、俺達も帰ろうか・・・」
「うん。そうだね、、、」
そう言って二人で歩き出した。
お互い言い出だせない何かを抱えながら無言で歩いた。
途中でコンビニに寄り、軽く買い物をしてホテルまで歩いた。
部屋に入り、カオルがバスルームに入った。
しばらくしてバスルームから呼ぶ声がしてドア越しに中を覗くと
広いバスルームには泡がいっぱいで、よくある映画の中の
お風呂になっていた。
「うわー すごーい。どうしたの?これ?」
「ここにバスエッセンスって書いてたのあったから入れてみた」
と空になった入れ物を見ながらカオルが答えた。
「先に入っていいよ」と言いカオルは外に出ていった。
普段、家では入れないようなお風呂に気分があがった。
横にはガラス張りの綺麗なシャワールームがついていて
小物の一つ一つがお洒落で格好よかった。
お風呂をあがり着替えを持たずに入ってしまったので、備え付けの
バスローブを着て出た。
内心はバスローブに抵抗があったが、着替えが無いから仕方ない。
その格好を見て、カオルは「似合うじゃん」と言い自分もバスルームに入っていった。
一人部屋に残り、なるようになれ!とビールを飲んだ。
どうしても付き合った人と最初の時は緊張する。
ここはいっそ少し酔ったほうが勢いがつくと思い、苦いのを我慢して
一気に半分ほど飲んだ。
また先に寝てしまうのも手だな・・・・とちょっと思った。
でもそうすると、カオルは二日も寝不足になるかもしれないし・・・
そんなことを思いながらベットに座りながら飲んでいたら
カオルは腰にタオルを巻いただけで出てきた。
服を着ている時には想像できないくらい鍛えられた体だった。
その姿にちょっとだけ酔いが覚めた。
「また飲めないくせに飲んでるな?」
と笑い自分も冷蔵庫からビールを出して飲みながら隣に座った。
「なんだかビックリしたな。ヤスとミライ」
「そうだねぇ〜 でもお似合いかもね」
「うん。そうだな」
話がそれ以上続かないで終わった。
二人で黙ってビールを飲み、沈黙になった。
「もしも、、、嫌ならなにもしないから・・・」
とポツリとカオルが言った。
腰にタオルしか巻いていない人の台詞じゃないな・・と思いながら黙っていた。
「また寝ない気?」と言うと「さすがに死ぬな・・・」と言い残りのビールを飲み干した。
きっとイヤ!と言えばカオルはなにもしないと思った。
でもお酒を飲んでいたのもあり、断る気は無かった。
そのまま何も言わずにベットに入り、
「電気消してね。眠る時は怖いけど見られるのは嫌なの」
そう言うとカオルは持っていたビールの缶をテーブルに置き電気を消してベットに入ってきた。
「いいの?」と小さな声で聞かれた。
そう聞かれてもどう答えていいのかわからず黙って頷いた。
軽いキスを何度かし、そのうち激しいキスになり、
お互いなにも纏わない状態で抱き合った。
筋肉質なカオルの腕が印象的だった。
耳から首筋にゆっくりとなぞるようにキスをされ、
胸を優しく揉まれた。
「胸、、あんまり大きくないの、、、」胸を触ったカオルの手に
自分の手を重ね退かそうとした。自分の中で少しコンプレックスだった。
それ以上なにも言えないように唇を塞がれた。
そのまま胸にキスをし、下腹を舌でなぞり
カオルの体がどんどん足元に下がっていった。
スルリと足の間に体を滑りこませるカオルの動きに途端に恥ずかしくなり足に力が入った。
「ごめん、、ちょっと待って、、、」と逃げるように腰を引いたが
カオルはなにも言わずに力強く引いた腰を掴みそのまま顔を埋めた。
恥ずかしさで何度も腰を引き逃げようとする度に引き戻された。
「もっと力抜いて・・・」優しい声で言われたが、恥ずかしくて堅く目を瞑ることしかできなかった。
「恥ずかしいから、、ダメ。上に上がってきて」と言っても
言えば言うほどカオルは激しく責めてきた。
まるであたしの体の感じる部分を全部知っているようなカオルの舌の動きにいつの間にか声が出ていた。息が荒くなり、頭が白くなるのを感じた。
「もう、、やめて、、、、」
途切れ途切れな声で言っても、カオルはやめてくれない・・・
そのうち感じたことが無いような大きな波がきて
体に力が入り、もうなにも考えられなくなった。
頭の中に少しの恥ずかしさが残ってはいたが、それを表に
出すことができないままカオルの動きに体が従っていた。
スッと体を上に戻し、そのままカオルが中に入ってきた。
いままでこんなに体に汗をかいたことがないほど
胸にも背中にも汗をかき、カオルの背中に手を回すと、同じくらいの汗を感じた。
奥まで入った状態で優しく額にキスをしながらカオルが聞いてきた。
「もしかして、、口でされたの初めて?」
「うん、、、なんだか恥ずかしくて、、、、」
「あんなに感じてたのに?」
そう言われてまた恥ずかしくなり、両手で顔を挟んで叩いた。
「もうやめる!」
「もっとよくしてあげるから・・・」
上半身をあげ激しく腰を動かしているカオルの息を感じた。
背中にまわした手に力がはいり、強く肩を掴んだ。
こんなに声を出したことが無いくらい感じていた。
耳元でなにか言われたけど、それを頭が理解しない。
セックスでこんな感覚になったことは初めてだった。
「もう、、、ダメ、、、、、」
そう言ってカオルの体にしがみついた。
「まだダ〜メ」カオルはそう言い動きを止め焦らしながら反応を見ていた。
そうされればされるほど、感覚が鋭くなるような気がした。
動きを止めたカオルにねだるように抱きつくとカオルも息を弾ませていた。
胸にカオルの汗がポツポツと落ちた。
「もうイきたい?」悪戯っぽく耳元で聞くカオルに顔をくっ付け
声に出すのが恥ずかしいので何度が頷いた。
「ちゃんと言わないとヤメちゃうよ?」
ここまで頭が白くなっていても、それに答えることに対しての羞恥心はあった。
「意地悪しないで、、、」
「どうしてほしい?恥ずかしくて言えない?」
「なんか、、、カオル、、、エロオヤジ、、、」
「そういうこと言うかなぁ・・・・まったく・・・」
ちょっとシラケタ間を激しいキスで埋めた。
普段は舌が入るキスもあまり好きじゃなかったのに、
カオルのキスは自然と口が開く。息が苦しくなるほど舌を絡め
同時に腰を大きく動かされ自然と唇が離れた。
だんだん動きが激しくなり、その瞬間もぅ頭の中が空っぽになっていた・・・
こんなに夢中になったセックスは初めてだった。
自分の額を触ると汗が滲み、カオルの髪を撫でるように触ると汗で髪が張り付いていた。
「あたし、、、こんなに汗かいたの始めて、、、」
「俺も、、、、こんなにイジメ甲斐のある子初めて」
気持ちのいい脱力感に二人とも酔いしれていた。
カオルが寝たのを見計らって腕を外し、後ろから抱きかかえられるように
手をまわし背中に温もりを感じながら目を瞑った。
5分もしないうちに深い眠りに入った。
その日は知らないホテルなのに部屋が真っ暗でもなにも怖くなかった。