表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/35

始めの一歩はチャットから・・・

この小説はR15指定とさせていただきます。





あたしは数年前からネットを利用しているが、

その使い方は今ひとつであり、最初はチャットから始まった。

最初はいろいろな地方の人が年齢も性別も分らないままに


「元気〜」とか

「待ってたよ〜」とか


そんな会話が繰り広げられることが新鮮でもあり

不思議な空間だった。

それこそ最初は毎日といっていいほどハマッタ・・・

寝不足になっても、やらなければならないことがあってもだ。


今思うとなにがそんなに面白かったのは微妙なんだが、

その当時は毎晩、みんなが集まる時間が待ち遠しかった。


けど、チャットというのは相手の顔を知らない。

中には画像を送ってくるという自分に自信のある人もいるが、

ほとんどの人が躊躇する。


それは、やはり顔を知られて

「え〜・・・なんか思ってたのと違うなぁ・・・」

って思われるのが怖いから。


女性同士であったとしても、

自分よりも遥か容姿が素敵な人であったとすると

自分みたいな中の下くらいのレベルの女を、

ネットであったとしても

友達でいてくれるだろうか?と不安になる。


それが相手が男性であったりするならば、

その不安はもっと大きくなる。たとえそれは文字だけであっても、

この人は女性、この人は男性と思うだけで

話すニュアンスも違うものになるし、

いざワクワクしながらチャット部屋に入ったとしても、

明らかに男性のHNと二人きりでみんなが

来るのを待っていたりする時も変な緊張感があったりした。


それでも、だいたい毎日同じチャット部屋に顔を出し

そこそこ話をすることで仲間意識が芽生え、

「さん」とつけていた名前も次第に呼び捨てになったりする。


そうなれば、とてもスムーズに話ができ、

普段の生活でリアルな友人にも話せない悩みなどを、

この顔も知らないHNの友人達には言えるという状態になる。


毎日の窮屈な生活にウンザリしてきた時に

偶然知ったこのシステムを

あたしは避難場所のように利用し、

とても気に入っていた。

毎日、仕事でイライラすることがあっても


「ちくしょ〜。今日はみんなにこの上司の悪口聞いてもらおう!」

とかすっかりリアルの生活よりも、

このネットの生活が心地よくなり、

リアル友人と遊びに行くことよりもパソコンの前に

いることのほうが楽しくなったりもしていた。


けど、そのうちこのチャット部屋も

仲が良くなるにつれ怪しくなってきた。


やはりどこの世界も男性がいて、女性がいる・・・

その先には恋愛感情というものが生まれてくる。


あたしはこの部屋を利用し始めてすぐに、何度か男性に

「ねぇ。携帯に電話していい?」などと聞かれたが、

所詮文字しか知らない相手と話すのもどうかと思い

ノラリクラリと断っていた。


なんとなく、自分の中で電話をしてしまうとルールから

外れるようなそんな勝手な思い込みをしていた。


それも次第に馴れてくると、本当に会話が弾む人達だけとは

ちょっとした連絡事項を携帯で話たり、

少しずつだが気持ちも変化してきた。

でも、それはとうてい恋愛感情には届かず、わたしの中では


「あくまでみんなは文字の人」


それ以上でもそれ以下でもなかった。

特に声を聞いたからといって、特別な感情をもつことも無く、

普通の友達のように話をしていた。

でも、相手の顔は知らない。

けど毎日なんらかの話題を元に会話(と言っても文字だけど)

をしているので緊張するわけでもなく、

だからといって違和感があるわけでもなかった。


この部屋には男性12人と女性8人がいた。

そのうち夫婦で利用してる人が2組。

それとは別に既婚者が一人。


あとはみんな独身だった。


そう思えば、毎日同じ時間に集まり、

同じ会話を共有している間柄でなんらかの特別な感情が

起きても不思議ではないのかもしれない。

ただ、あたしの頭の中には

「文字の人達」

というだけで、他の人はそう思っていなかっただけのことだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ