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ロボと煩悩  作者: 春隣 豆吉
ロボと色恋
7/9

3:

R15相当と思われます。しょぼくてすいません。

 白地に淡い色で植物のような模様が描かれた天井は高い。ベッドは2人が寝てもじゅうぶん広くて、寝返りだってうてちゃう。いま寝返りをうつと眼鏡を外した上品な美形の寝顔を拝めるけど………顔を直視できる自信がない。 

 ものすごく色気のある顔だった。自分のことも「私」じゃなくて「俺」って言うし。

「……違いすぎる」

「おはようございます。なにがですか?」

 声とともに意外と筋肉質な両腕がぎゅっと絡んできた。

「おはよう…教えない」

「実桜子さんは、意地悪ですねえ」

 それにしても…ちょうど私の耳元に唇の感触があるのはなんでですかね。しかもキスされてるっぽいのですが。

「く…久林さんには、言われたくない…うわあっ!!」

 絡んできた腕がちょっとゆるまったと思ったら、なぜ私は久林さんを見上げる格好になっているのだろう。

「うわあってのはちょっと色っぽくないですよ」

 不動の前髪はデパ地下で会ったときみたいに下ろされ、あのときよりも乱れている。首より下はあんまり見ちゃいけない、うん見ない見ない!!でも彼の鎖骨はとても好みだ。それを言ったら私の顔の近くにある程よい筋肉のついた腕も、ちょっとごつごつしてるけど滑らかな手も。

「私のことは名前で呼んでくれていいのに」

「い、いやあ、そんな急に言われても」

「昨日はあんなに呼んでくれたのに」

 頭のなかに、昨日の夜のことがまざまざと浮かび上がる。居酒屋からこのホテルに移動して、キスが気持ちよくて、そして…うわああああっ!!!


「いまそれを言う?!わ、わかったよ。興伸さん!ほら、これでいいでしょ…んんんっ?!」

 なぜ名前を呼んだだけなのにキスをされてるんだ、私。

「やっぱりあなたに名前を呼ばれるのはいいです」

 真上の無表情がほころぶ。そうなんだ、この人ちゃんと笑える人なのよね。煩悩発言で微笑んだのは幻じゃなかったのが、昨日の夜でよく分かったさ。

「そ、そう…あの、さ」

「なんでしょう?」

「いつまで私は、興伸さんを見上げてればいいのかな。帰る前にお風呂入りたいんだけど」

「まだチェックアウトまで時間ありますよ」

 そういうと彼はベッドの上の時計で時間を確かめた。

「あれ?眼鏡はいらないの?」

「私は近視ですが、これくらいの距離は裸眼でも見えます。ああでも時間はまだたっぷりありますからお風呂もいいですね」

「ん?お風呂“も”ってなに」

「昨日はベッドだけでしたから、場所を変えるのもいいかなと思いまして」

「は?!違うから!!お風呂ってのは私1人でのんびりふふふんとつかりたいなということで!!」

「2人でのんびりふふふんもいいじゃないですか」

 久林さんの言動が非常にうそっぽく聞こえるのは私の気のせいじゃないぞ、絶対に。

「のんびりできない気がするんだけどさ」

「私、こう見えても寂しがりやなんですよ」

 そういうと私の耳元で“おとなしくしてますから”とささやく。ああ嘘くさい…でも。

「……ほんとうに、おとなしくしててよね」

「ええ。もちろんです」

 彼の腕から逃れてお風呂に入るには、どうやらこれしか方法がないようだ。



 わかっちゃいたけど、やっぱり久林さんはうそつきだった。

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