表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロボと煩悩  作者: 春隣 豆吉
ロボと色恋
5/9

1:

「ロボと煩悩」続編です。

 私の向かいに座った久林さんがこれみよがしにため息をついた。美形のため息はそれだけで絵になるが彼の場合は安定の無表情である。

「黒田さんはじらすのがお好きなんですね。私が翻弄されるなんて新鮮です」

「…じらすって、なにを」

 社食のざわめきにまぎれてなに言ってるんだ、この男は!!周囲を注意深く見渡すけど、私たちの会話は聞こえていないようだ。念のため隅の席にしておいてよかった。

「この間の私の告白を聞かなかったふりをしてますよね。流されてくれればラッキーだったんですけどね、残念です」

 告白…あの煩悩くすぐるっていうのが告白!?29歳だってな好きってちゃんと言われたいし、心のなかに乙女がいるんだよっ!!

「どのあたりが告白だったのかさっぱりなんですけど」

「それはもちろん黒田さんは私のぼんの…」

 思わず手元のシュウマイを久林さんの口につっこんだ。周囲からどよめきが聞こえるけど聞こえないふりをする。

 久林さんは一瞬戸惑ったようだけどシュウマイをもぐもぐし、飲み込む。

「まさか黒田さんがこのような場所で“あ~ん”をしてくれるとは…嬉しいです」

「久林さんが変なこと言うのを阻止しただけだから!!それにやっぱりあれは告白とは思えない。あれはまるで」

「まるで、なんですか?」

「なぜ昼間からさらに恥ずかしい思いをしなくちゃいけないのさ。絶対言わない」

「なるほど。それでは金曜の夜に教えてもらいましょうか。楽しみです」

 …こういうのを墓穴を掘ったというのだ、きっと。


  “あなたは私の煩悩をくすぐるんですよ。まあ手っ取り早く言えば、今すぐここのチョコレートカクテルを飲ませて家に連れ込みたいくらいです”

カフェで顔を近づけてきた久林さんは私にそういうと、確かに微笑んだ。絶句はしたものの心臓がいやになるくらいどきどきしたのも事実で…私も女なんだなあ、と久しぶりにときめいてしまったのだ。でもやっぱりあの言葉はセフレの申し込みに聞こえるのは私だけ??

 久林さんならセフレの1人や2人いても、なんとなく納得できるとしても私はそんな付き合いは嫌だ。ちゃんと気持ちの伴う恋愛がしたい。

 昼食を食べてリフレッシュしたはずが、疲労感があるのはなぜ。栄養ドリンク買ってこようかな…ため息をつくと、後輩が椅子をすすすと寄せてきた。

「黒田せんぱいいいい~。んもう、みせつけないでくださいよお」

「みせつけるってなにを?」

「またとぼけて!シューマイあーん事件ですよお!」

「事件になってるのか」

「だってロボ久林さんが社内恋愛してるだけで事件なのに、それを隠そうとしてないじゃないですか。しかもお相手が黒田先輩っていうのが営業フロア的には皆納得です!私たち応援してますからっ!!」

 そういうと後輩はすすすと椅子ごと自分の席に戻り、パソコンで作業を始めた。うん、ほんとにこの後輩の切り替えの速さはすごいわ。私も見習って仕事しなくちゃ。

 後輩の口ぶりから私と久林さんは既に社内では恋愛中と認識されているらしい。確かに2人で出かけるとあっちも楽しそうだし(ただし無表情)…でも、どう考えてもチョコがなければ成立しない私たちの関係。


 限定チョコ愛ってそんなに続くもの?

 金曜日、急に社長に秘書を同行するような出張とか接待って入らないかな…思わず心の中で願をかけてしまう私であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ