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1日目「はじまり」

ここはどこにでもある平凡な町、輪島町。

「ハァ・・・もう月曜日か・・・」

この町で暮らす一人の高校生、土城正樹は今現在とても憂鬱な気分だった。

正樹はぼっち脱却を目指して意地と執念で勉強し、なんとか高校に合格することが出来た。

しかし、高校でも友人を作ることが出来ず、昼ごはんを一人寂しく教室の隅っこで食べるような生活を送っていた。

おまけに正樹はこの前同じクラスのヤンキーのような格好をした奴らにいちゃもんをつけられ、月曜日までに10万円払えと要求されていた。

ここで彼らを倒せたらさぞかし格好よかっただろうが、喧嘩なんて一度もしたことがない正樹がそんなことできるわけも無く、大人しく彼らに従うしかなかった。

「こんな世界、無くなっちまえばいいのに・・・」

そんな事を正樹は小声で呟いたが、そんな事起こるわけがないと誰もが思っていた。


今日、あんな事が起こるまでは。


正樹が教室に入って席に着くと、早速この前のヤンキー達が寄ってきた。

「よお、正樹。お前カネ持ってきたんだろうな?」

恐らくこのグループのリーダーなのだろう、真ん中にいたヤンキーが正樹に声を掛けた。名札には『中村』と刻印されている。

「あ、あ、うん。い、一応、ちゃんとも、持ってきたよ。」

それに対し正樹はどもりながら言葉を返す。家族以外と話す時にどもってしまうのは正樹の悪い癖だ。

「そっか~。それなら良いんだよ。今日の放課後、ちゃんとこの前の場所に来いよ。」

中村達は正樹にそう言い残して立ち去っていった。


「・・・ハァ。」

中村達が廊下に出て行った後、正樹は一人ため息をついた。

正樹と中村達とのやり取りは教室にいる人達には確実に聞こえていたはずだが、もちろん誰も正樹を助けようともしない。

せいぜい正樹に哀れみや同情の目を向けるぐらいだ。

そんな目で俺を見るくらいなら助けてくれたっていいのに、と正樹は思う。

まあどうせ誰も助けてくれないだろうと半ば諦めていたので対してショックではないが。

そんな事を考えているうちにチャイムが鳴り、ホームルームが始まった。


ホームルームが終わり、1時間目が終わり、2時間目が終わり・・・と淡々と授業が進んでいた時、突然スピーカーから放送が聞こえてきた。


『えー、全生徒、全教師に連絡します。現在、輪島町北部にある研究所が突然爆発しました。これにより、研究所内から研究中のウイルスが漏れ出した可能性があるとして、北部の研究所周辺の地域を隔離する事になりました。そのため、この学校の体育館を北部に住んでいる市民の一時避難所として開放します。生徒の皆さんは一旦帰宅してください。』


研究所、爆発、避難という単語に研究所近くに住んでいるであろうクラスメイトは不安げな表情を浮かべていたが、大半の生徒は帰れるということで大騒ぎしていた。

無論、正樹も帰れるということで騒ぎはしなかったが内心ウキウキであった。

授業をしていた先生が荷物をまとめろと指示を出し、みんなが荷物をまとめる。

先生が全員荷物をまとめ終わった事を確認すると、廊下に並ばせてグラウンドへと向かった。


グラウンドに学校の生徒全員が来た事を確認すると、先生が生徒に座るよう指示を出す。

全員座るとこの学校の校長、通称ヅラ吉が話を始める。

ほとんどの生徒が話を聞かずにざわついていたが、話す友人がいない正樹は取り敢えず話を聞いておくことにした。


校長の話を要約すると、

『さっき研究所が爆発した。』

『死者や怪我人は数十名報告されている。』

『さらに研究中のウイルスやウイルスの実験に使っていた動物が逃げ出したと思われる。』

『取り敢えず学校は一週間ほど休校するので外にはなるべく出ず、熱が出たりしたらすぐに病院へ行くこと。』

ということだった。


校長の話が終わり、学年ごとに下校準備をしていた時、それは起こった。


「あ、あれ、避難してきた人じゃない?」

声からして女子生徒だろうか、どこからか声が上がった。

「あ、ホントだ!」

「なんかやけにゆっくり歩いてるな。」

「服に血付いてね?ケガしてんのかも。」

と、生徒が様々な声を上げていたので、正樹も取り敢えず見てみる事にした。


確かに避難してきた人だろうか、一人のスーツを着た男がよたよたとこちらへ近づいてくる。

顔や服に付いているあれは・・・血?

血の量を見る限り男はかなりの怪我を負っているようだ。

普通なら大ケガをしていれば避難所に来る前に救急に連絡を入れたり病院へ向かうべきだが・・・


すると男は突然走り出し、近くの男の先生へと駆け寄った。

先生は突然の事でそこそこ驚いていたが、すぐに男へ

「大丈夫ですか?」

と声を掛けた。

すると男は


先生の喉元に齧り付いたのだ。


正樹はもちろん、周りの見ていた生徒や先生、恐らく噛み付かれた本人も突然の事で何が起こっているかわからない、といった様子だった。

その静寂を破ったのは噛み付かれた先生の口から血と一緒に溢れてくる

「な・・・なんで・・・?」

という声と、一人の生徒の叫び声だった。


その声で生徒達は一気にパニックへと陥った。

同じく叫び声を上げる人、噛み付かれた先生へと駆け寄ろうとする人、何もできずただ固まっている人・・・

正樹は固まっている人の一人だった。

すると他の先生達が急いで先生を噛み続けている、というか食べている男を取り押さえ、噛み付かれた先生を救助する。

先生はやはり喉元を噛み千切られ、顔にも大きな食い千切られた痕が残っていた。


恐らく、いや、確実に死んでいる。

正樹はそう思った。

恐らく他の先生や見ていた学生もそう思ったのだろう、

「し・・・死んでるのか?」

と、呟いている。

そんな時のことだった。


噛み付かれた先生がゆらりと起き上がったのだ。


先生や生徒達は更に困惑した。

今起き上がった先生は死ぬレベルの大怪我を負っているのだ。

実際、千切れかかった首だと自重を支えきれないのか、ブチブチと音をたてて今にも首が落ちそうになっている。

「せ・・・先生?」

男を抑えている先生の一人が声を掛ける。

すると起き上がった先生は、


その先生に噛み付いたのだ。


その拍子に取り押さえてられていた男も立ち上がり他の先生を襲い出す。

生徒達はこれ以上にないほどパニックに陥った。

やっと動けるようになった正樹は確信した。

これは絶対ゾンビだ。


だって死人が動き出すとか絶対ありえないし。

そもそも普通の人は他の人に噛み付かないし。

てかこれは一回自宅に戻った方がいいのか?

やけに冷静な頭で正樹は考える。

そして結論を出した。


帰ろう。俺には帰る家がある。


思い立ったが吉日と言わんばかりに正樹は校門へと走り出した。

走り出した正樹に気づいたのか、何十人かの生徒も続いて校門へと走り出す。

今までにないくらい全力で走って校門まで辿り着いた正樹達は更に地獄へと叩き落とされた気分になった。


町にゾンビ達が溢れかえっていたのだ。

家やマンションからは煙が上がり、車は電柱に突っ込み、逃げている人々にゾンビが走って襲いかかる。

まさに地獄絵図だった。

これならまだ学校のほうがマシかもしれない。

正樹はそう思いさっきまでいたグラウンドに目を向ける。


「ああ、マジかよ・・・。」


グラウンドも地獄だった。

今はもうざっと見る限りゾンビの数と人間の数の割合は7:3ぐらいだろうか。

何人かの生徒がスコップを振り回して果敢にも戦っているがこの数なら恐らく5分も持たないだろう。

町に出ても死ぬしここに居ても死ぬ。取り敢えずそれだけは確信できた。


「よ、よし!俺は行くぞ!行ってやる!家に帰って妹を守るんだ!」

正樹の横にいた男子生徒が大声で宣言をする。

すると、

「わ、私だって行くわ!」

「ナメんな!俺だって行くさ!」

「ここに残っても死ぬんだ!行くしかない!」

と他の生徒も言い始めた。

これは、行くしかない。

正樹も覚悟を決めた。


「よし、みんな行くぞ!みんな無事に家に帰るんだ!」

最初に声を上げた生徒が走り出すと正樹を含めた校門前の生徒が全員走り出す。

なんだか青春ドラマみたいだな、と正樹は走り始めた時ちらりと思ったがそんな考え事をする暇はすぐに無くなってしまった。


「キャアッ!!」

しばらく走っていると後ろから叫び声が聞こえたので正樹が振り返ると、女子生徒がゾンビに腕を掴まれていた。

「お・・・お願い・・・た、助けて・・・」

正樹が助けようと立ち止まり、女子生徒の方へと向かおうとしたが、その時

「やめとけ!もうそいつは手遅れだ!」

と前から男子生徒が小走りで駆け寄ってきた。

「で、でもあの子はまだ、い、生きてるじゃないか!」

正樹がそう反論すると男子生徒は

「いや、もう手遅れだ。腕を噛まれてる。」

と答えた。

確かに女子生徒の腕を見ると噛まれた痕が残っていた。

「多分、噛まれたら感染するんだ。助けたらむしろ俺達が危ない。」

「そ、そんな・・・」

「残酷だが諦めろ。ここに立ち止まっていたら俺達もあいつらの仲間になっちまうぞ。」

そう言い残して男子生徒は走っていった。

「・・・君を助けられなくて、ご、ごめんよ。」

そう言い残して正樹も走り去るしかなかった。

恐らく後ろから聞こえた

「何で助けてくれないのよぉぉぉぉぉ!!」

という声は一生正樹の耳から離れないだろう。


「ハァ・・・ハァ・・・お前の家はここか?」

自宅へなんとか辿り着いて家へ入ろうとした正樹にさっきの男子生徒が声を掛けてきた。

「う、うん。そうだよ。」

「そうか・・・ここまで辿り着いたのは俺とお前だけみたいだな。」

そう言われて周りを見渡してみると、最初は数十人いたはずの生徒達がもうこの男子生徒しか居なくなっていた。

「よくここまで頑張ったな。死ぬなよ。」

そう言って男子生徒は走り去っていこうとしたが、一旦止まってこう言った。

「俺の名は高橋洋!また会えたら宜しくな!!」

そう言い残して高橋は正樹が返事をする前に走り去って行った。


正樹が自宅に入ると家には誰も居なかった。

恐らく母親や父親はゾンビもなって町を徘徊しているのだろう。

「さて・・・どうすればいいんだ・・・?」

落ち着いてきた正樹は考える。

思えば今日は色々なことがあった。

人が死ぬところも沢山見た。

そう考えると正樹は恐ろしくなった。

みんな、みんな死んだんだ。

とにかく、生き残ったのだからこのまま生き残り続けないといけない。

あいつらゾンビの仲間になんてなるのはゴメンだ。

「取り敢えず・・・家の鍵をちゃんと閉めて今日は寝よう。詳しい事は明日考えればいいんだ。」

そう言って正樹はソファに寝転がりそのまま死んだように眠った。


こうして、正樹のサバイバル生活が始まったのだ。

小説の書き方が上手く掴めないです。

宜しくお願いします。

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