ある隠しキャラの密やかなる怒り
あらすじを読んでいただけると大体理解できるかもしれません。
おう!どうした?
ん?確かに俺の名字は三条だけど。
…なんで一条じゃないのか?
もとは一条だった。だけど、ある時代で三条に変わったんだよ。
一条の名を最後に継いだ奴がいたのはもう何百年前になる。
その時代、権力闘争が頻発していた。
地位だけを見れば頂点にいる人も容易く消されていく、そんな時代だったらしい。
一条の名を最後に継いだ当主は、時の権力者を暗殺しようとする奴等から身を挺して庇った結果、死んじまった。
その当主には三人の子供がいた。
長男は頂点に権力を戻すため軍へ入り、戦場で殉職した。
次男は、頂点じゃない頂点を蹴落すべく行動して暗殺された。
そして三男は、既に家を出ていた。
三男は、兄弟の中で一番顔が良かったらしい。
兄弟三人とも時の権力者に望まれるほど成績や性格が良く、一番目立つ顔の三男は特に婚姻の申し出が多かった。
だが、三男は仲の良い兄二人に似ていない顔を嫌っていたらしく、成人と同時に家を出た。
分家の人間が必死の思いで見つけ出し、後を継ぐように願った時に出された条件が、一条の名を三条にすることだった。
どう思ってこうしたのか、ということを示す記述は一切見つかっていない。
…というわけで、俺の名字は三条になった。
一条家ってな、密やかに天皇陛下へ御仕えする一族なんだよ。
三条に変わろうがそれは変わらない。
国を。民を。平安へ。
それを望まれて創られ、そのためだけに権力を持ち続ける一族の一員が、女に堕ちるような教育をされてるとでも思ったか?
誰かに言いなりになるような性格にされているとでも思ったのか?
男を侍らせたいんなら、他の連中にしてくれるか。
国の行く道に責任を持つことになる俺が、暇なわけないだろ?
笑わせるな。
齢20歳で死亡し、転生したヒロイン。
ただ、彼女は……現実と乙女ゲームの『差』というものを理解していなかった。
いや。
ただ単に、理解しようとしなかったのかもしれない。
上に立つための教育を受けている人間と、ただの人間として教育を受けた人間の差は果てしなく大きいのです。
お読み頂き有難う御座いました。




