再会(2)
「……はい。頼まれていた御朝食をお持ちしました」
普段からライトは、敬語を使わないが、曲がりなりにも"お客様"なので、敬語を使っている。朝食……小麦粉で練ったパンとスクランエッグ、サラダとバター……、コンポタージュとコーヒーとアップルジュースを、机に置いていく。後は食器……スープ用のスプーンとフォーク、バターナイフとオリジナルドレッシングを置けば終わりだ。
「では、ごゆっくりしてください」
ライトは、頭を下げ、身を翻して、その場から離れて行こうとする。
「……待って」
少女の声で、ライトの足が止まり、少女の方に顔を向ける。
「……話したいことがあるの。いつ、空いてる?」
「…………」
少女の質問にライトは無言になる。いつでも空いているが、昼食の時はココをご利用する村人がいるので、なんとも言えない。
「……わかったわ。その時に聞いて欲しい話があるの」
「……わかりました」
まるで会話が終わりかのように、ライトは、その場から離れて行く。
お客様のテーブルから離れて、ライトは厨房に入り、皿を洗っている。
「おやおや、仕事熱心だね」
「……そうか?」
ガチャガチャと音を鳴らしつつ、ライトは、水道で皿についた泡を落としていっている。その横で宿屋のおばちゃんは、洗った皿を拭いている。
「……で、彼女からの告白かい?」
「…………違います」
話したいことはあるが告白ではない……というか、告白しにこんな辺鄙な田舎に、追いかけに来るのかと、思ってしまう。少女の方は見覚えないが、青年に見覚えがある気がしてきた。どこで見かけたんだろうと思いながら、ライトは、皿を洗っていく。