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再会(1)
「貴方でしたのですね。会いたかったですわ……」
少女は、席を立ち上がり、自分の手を重ねるかのように、青年の手を握る。
「……あの……、人違いでは?」
目の前にいる少女とライトは、一度も会った事がない。と、いうか、最初に会いに来た理由を述べるべきではないかと、ライトは思う。
「……成る程、意外な場所にいたものですね」
「そうね。でも、港町・ラグランに向かわなくて正解でしたね」
「ああ……」
「はぁ?」
二人の会話についていけず、ライトは瞳を丸くし、とりあえず、咳払いをする。
「とりあえずは、何を注文しますか……」
ライトにとっては、ここは仕事場であって、喋り場ではない。とりあえずは仕事に専念することにした。