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出会い(1)
「……………ふぅ」
青年は持ってきたリュックサックをよいしょと下げ、溜め息をつける。
「おう、ライト。今から帰るのか?」
「……ん? ああ……」
村長に話し掛けられた事に気付いたのか、ライトは返事を返す。
「しかし、ライトも勿体無い事をする……」
「そうか?」
しみじみする村長にライトの表情はキョトンとする。
「ああ、王都・クラフトに呼ばれていたのに、話を断るとは……」
(また、その話か……)
村長の話す言葉にライトは、うんざりの表情になった。
王都・クラフトとは、このラグクラフト大陸の首都だ。ライトはクラフトにある学院……トラフト学院を主席で突破し、卒業してきた。その際にあった話は、『王女の家庭教師になってほしい』と言われて、断ってきた。こっちにだってやりたいことがあるからだ。
(あはは……)
心の中で苦笑するライト。その事を知ってか村長は話の途中だが、ため息をつける。
「まぁ、いい。ライトが決めたんだから、わしは何も言わんよ」
「うん……」
そう言って身を翻し歩いて行く村長の後ろ姿を見ながら、ライトも家に帰って行く。