裁縫
須王寺麗菜は、美由に走るよる。
「桜間さん大丈夫?」
「ええ。」
須王寺は取り囲んだ女子を睨みつける。
「あなた達、取り返しのつかない事をしましたね。学園はあなた達を放っておきませんよ?」
その言葉が、数で優位に立っていたはずのお嬢様達を劣勢に追い込んだ。
「このまま、桜間さんが警察に駆け込めば、あなた達は犯罪者ですよ?集団リンチなんて。」
「須王寺さん、ですが・・。」
「ですが?あなた達は犯罪を犯したんですよ?それを正当化する理由があるというの?」
美由が口を開く。
「すいません。須王寺さん。集団リンチだけではなく、私のいじめられている写真をインターネット上で既に公開したそうですよ。自分の手で証拠を残すなんてバカなことしましたね。」
「そこまで・・・。」
彼女達は黙っていた。
「服やぶけちゃいましたねぇえ。ウチの学園、無駄に制服高いんですよ。これ5万くらいするんでよ。このままじゃ私、授業も受けられないんですけど。しかも、私のサイズって他の人と合わないし先生になんて説明すれば。」
自分達が有利になると思ってやった事全てが、自分達に不利な証拠として襲い掛かっている。
須王寺は美由を見る。
「桜間さん。お願いがあるのですが?」
「はい」
「彼女達を許してはいただけませんか?」
「イヤです。許すと発言した時点で、彼女達の罪が清算される事になるので。ただ、判断を先に保留にし、今後、何も無ければ心に閉まっておく分には問題ありません。」
須王寺はお嬢様方を見る。
「あなた方、聞いて?それで、問題がありますか?」
「いいえ、須王寺さん。」
「聞きました?桜間さん。」
「はい。」
「あなた達は去りなさい。後は私が何とかするから。」
お嬢様方は何も言わずに立ちさった。
「さて、どうしましょうか?この制服。このままじゃ授業が・・・。」
「私のジャケットはおれば問題ないんじゃない?」
そう言ったのは、近くで覗き見していた桐野だった。
「でも、カッターシャツのボタンが。」
桐野はポケットから裁縫用具を取り出す。
「つけりゃあいいじゃん。」
3人で美由の制服の修復作業を始めた。
美由は、桐野のジャケットを羽織り、カッターシャツとベストを脱いでいる。
「幸い、破けたのがカッターシャツだけでよかったです。」
そう、須王寺は言った。
「あいた。」
そう言ったのは美由だった。針を自分の指に刺しただった。美由のボタン付けはかなり駄目だった。
須王寺は美由から服を取る。
「万能な桜間さんも裁縫は苦手の様ね。」
「あはは、お恥ずかしい。」
須王寺はスイスイとボタンを縫い付けていく。
桐野はカッターシャツのボタン付けが終わり、カッターシャツの袖の縫いつけをやっている。袖口はマチ針がいっぱい刺さっていた。
「すいません。私の事に巻き込んで。」
二人は同時に美由に反論する
「「桜間さん。簡単に謝らない。」」
須王寺と桐野はお互い見合って、笑った。