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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
6話 未定
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朋と本

 休み時間、近藤ジェミニはトイレの個室の中にいた。

 自分の左の人差し指の腹をみつめていた。

 そこには、3ミリ程の傷があった。

 本の力を発動するためには血が必要で、その血を本にあたえるために、自分でつけた傷だった。

 彼女は針を取り出し、何の躊躇も無く、傷口に差してえぐり、本の表紙に指を押し当てた。

 『これでよし。』

 さて、今日はどんな、面白いモノが見れるかしら?

 彼女は本を内ポケットにしまい、トイレを出ると、突然何かがぶつかってきて、尻餅をついた。

 ジェミニはぶつかってきた相手を見る。それは朋だった。

 朋は大量のプリントを一生懸命運んでいたが、そこらへんにぶちまける。

 朋は慌てて立ち上がり、大きく一礼をして「すいません」と、言った後、すぐに這い蹲り(はいつくくばり)、プリントを拾い始めた。

 そこに、みなれない文字で書かれたカバーのとれた文庫本の様な本がある事に気づく。

 それは、ジェミニの魔法の本だった。トイレで内ポケットにしまったつもりだったが、内ポケットに入っておらず、朋がぶつかってきた時に落ちたのだった。

 朋がその本を拾うと、本が青白い光を放った様に見えた。

 ジェミニは起き上がり、本を乱暴に朋の手から奪い、高い声でどなりはじめる。

 「何なのあんた?私を誰だと思っているの?この学園で二番目の派閥の長よ。それをあの程度の謝罪だけなんて。」

 「すいません。次の授業で配るプリントを運んでいたら。」

 「私はそういう事をいっているんじゃないの。ただ、平謝りして、私に気遣いをせず、プリントを拾い始めてるなんて、どういう教育うけてるの?」

 「すいません・・・。」

 朋は泣きそうなっていた。

 「何?泣くつもり?泣きたいのは私の方よ。自分が悪い事しといて何様のつもり?」

 「すいません・・・。」

 誰かが、駆け寄ってきて、朋とジェミニの間に割って入った。それは美由だった。

 「ちょっと、近藤さん。出会い頭にぶつかったのはお互い様でしょ。彼女はちゃんと謝っています。幾らなんでもその言い方は酷すぎると思います。」

 「な、なに、この私に口答えするつもり?」

 美由は朋の顔を見る。

 「朋ちゃん、いいからプリント拾って。」

 美由のその言葉に我を忘れたジェミニは、美由の顔を平手で思いっきりはたいた。

 「何、私を無視して、勝手に許可だしてるの。」

 美由はジェミニの顔を見る。

 「近藤さん。周りを見てください。人が見てますよ。」

 ジェミニは周囲を見渡した。大勢の生徒が自分に冷たい視線を向けているのが分かった。彼女は「ふん」と言いながら、教室へと立ち去った。

 美由は這い蹲り(はいつくばり)朋と一緒に、プリントを拾い始める。

 「朋ちゃん大丈夫だった?」

 「はい、迷惑をかけてすいません。」

 朋は身を守るような感じだった。美由は朋の頭に手を置き、ポンポンと叩く。

 「朋ちゃん。迷惑だなんて思ってないよ。私だって朋ちゃんに助けられているんだから。お互い様だって。」

 朋は笑顔になった。




 ジェミニは自分の机に座り、深刻な顔で考え込む。

 『何?私があんな事を言うなんて?本の効果なの?でも、あんなに強い効果ではなかったはず。周りの人は自分をどう思ったか、少し想像をめぐらせればわかる。高慢ちきなイヤな女と思われたはずだ。これもあの女のせいだ。』

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