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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
1話 魔法少女誕生
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筋肉痛と補習の朝。

 持久走大会の翌日の朝になった。

 朋は目を覚さます前に、自分の体の不快感を感じる。

 体が重いのだ。

 眠気で目蓋(まぶた)を開けられない状態で自分の記憶を辿ってみると、昨日、持久走大会があったことを思い出した。

 『ああ、私、筋肉痛なんだ。』

 (さいわ)い今日は土曜日なので学校は休みだ。

 『良かった。ゆっくり休めるよ。』

  と、言うよりも、持久走大会の疲れをとるために、休日の前日に持久走大会が設定されているわけだが。

 そういう考えにいたり、朋は何の迷いもなく深い眠りにつこうと思ったが、その次の瞬間、体の筋肉痛とは違う不快感を感じた。  

 「朋、起きなさい。休みだからって、ダラダラしないの。父さんはとっくの昔に出かけたし、ママも、もう出るのよ。」 

 仕事へ向かうため準備を整えた母親が、ダラダラ寝ている朋をゆすっていたのだ。

 「あうー、ママ。昨日は持久走大会で、今、筋肉痛だから勘弁して。」





 土曜日は普通、学校は休みだ。

 でも、この学校のセールスポイントは、県内トップクラスでは無いものの上位に名を連ねる私立進学高校である。

 大学進学率は学校命運を左右する大事なセールスポイントなのだ。

 そのため2年生の後半から土曜日は特別授業という名の受験に向けた特別授業がある。

 特別授業の建前は自由参加であったが実際は半強制であった。

 実際の処、通常で設定されている授業時間では教科書レベルの基礎をやるだけで手いっぱいで、大学受験をするには最低限、知っておかなければならない基本レベルや、地方国立大受験には必須になる応用レベルをこの特別授業でやるため、大学に行きたければ参加するしかないのだった。

 美由はクラスでは現在、数学ではなく算数をやっていた。


 「いいか?今日は数学ではなく算数の授業、小学校3年生レベルの授業をやる。」

 教師は1m定規を取り出し、黒板に1mの線を引く。

 「さて、その昔、円周率は3だと教えていた頃があったが、それ以外の時代ではπ(パイ)3.14と教えている。何故だか説明する」

 教師は紐を取り出し黒板に描かれた1mの線を基準にして3mを計りハサミで切断した。

 「この紐は3mある。少なくとも、黒板に描かれたこの線の3倍の長さではある。円の外周=直径×πなわけで、π=3であるであれば、この黒板に描かれた1mの直線を基準にこの紐で円を作れば、円に見えるはずだ。」

 教師は二人の生徒を前に呼び出し、3人がかりで黒板に描かれた1mの線を基準に3mの紐を使って円を描き、磁石で紐を固定するが、出来た円はかなりいびつな円であった。

 完成した円は理論上は円にならなくてはならないはずなのに、どう見ても横長い楕円であった。

 教師は紐を外し、定規で黒板に描かれた線の真ん中を求め、三角定規を使い直角を求め、それを基準にして1m定規を使い1m縦線を引いた。

 黒板上には丁度真ん中で交わる横1m縦1mの十字ができていた。

 この縦横1mの十字線を基準に丁度3mの紐を使い円を描いていると、四隅が丸みを帯びた四角ぽいものができた。

 「まあ、こう視覚で見て貰えばわかると思うが、直径を基準にして円周を直径の3倍で描くと、円に見えないわけだ。これってかなり致命的だと思わないか?」

  

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