ウサギ主の呼び出し。
蛙主がカエルの様にゲコゲコ鳴いている。
普段、美由も朋も普通に人間の言葉を使っている蛙主しか見てないので、普通にゲコゲコ鳴いているのは新鮮な光景だった。
「カエルさんって、カエルの様に鳴けるんですね。」
「私も蛙主が鳴く姿は、初めて見るかも。」
蛙主は鳴くのを止め、女子高生二人を見る。
「こら、ワシを何だと思っておるんじゃ。カエルの化け物じゃぞ。鳴けて当然じゃ。」
そういって、また、鳴きはじめた。
どこから、ともなく、他のカエルの鳴き声が聞こえてくる。
「さて、一応、メッセージは送ったが、ウサギのヤツ、メッセージを受け取れるかのう?あやつ、昼は寝ておるから。」
「あれだけ、自信満々に言って置いて、今更、そう言う事いいますか?」
美由はあきれた顔で、カエル主の発言につっこむ。
「すっかり忘れとった。昼は起きてても機嫌も悪いからのう。」
「やっぱり、道無き道を歩いて行った方が確実ですかね?」
「まあ、10分程待て、メッセージを受け取ったらなら来るじゃろう。もし来なかったら、ワシが瞬間移動で呼びに行ってやる。」
「カエルさんの必殺技ワープですね。」
朋がそう言う。
カエルの鳴き声が聞こえて来た。
蛙主は耳をすませて、その泣き声を聞く。
「ふむ、起きてはいるが、かなり機嫌が悪いらしく、用事があるなら直接来いと言っているそうじゃ。」
「ええ。これから道が無いところを歩くんですか?」
朋がブーたれた。
「ワシが行って来よう。」
蛙主は、そう言った後、魔法を唱え消えた。
「大丈夫なんですかね?」
美由が疑問の声を上げる。
呼び出しで拒否の姿勢を一度、出した人を動かすのは中々難しい。美由は他人に対してあきらめが早いので、一度、拒否されたら、少しは説得するがそれでも動かない場合は、後は自分で動いて問題を解決する事にしている。正直、時間の無駄だし、ストレスが溜まるし、トラブルの元になるからだ。
ウサギ主が機嫌が悪いのだから、カメを自分が背負って直接連れて行った方が早いだろうと思っていた。
5分程すると、蛙主が帰ってくる。
「ウサギのヤツ、来るそうじゃ。魔法少女のちびっ子の方がお前さんに会いたがっていると、言ったら、渋々飲んだぞい。」
『流石は、朋ちゃん。可愛いい女の子効果は凄いなぁあ。私だったら、絶対、直接来いと言われるな。』
美由は朋の実力を目の当たりにし、ちょっと感動する。
それから5分程過ぎると、ウサギ主が、杉林の中から現れた。