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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
5話 カメとウサギ
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休憩

 左右を杉林で囲まれた山道の隅っこでカメと二人の女子高生は休憩していた。

 「美由先輩、それにしてもタフですね。私はこんなにへばっているのに、汗ひとつかいてない。」

 「私は鍛えてるからね。いつもここら辺走っているし。」

 「いいなぁあ。私はすぐへばっちゃうから、毎日走るなんて考えられないです。」

 美由は朋をジーっと見つめる。

 「私も中学校の頃までは、すぐ、へばっちゃてたよ。」

 「そうなんですか?」

 「そうそう、魔法少女になってから、毎日運動するようになったけど。最初の頃はさっぱり。」

 「意外です。美由先輩も運動が出来ない頃があったなんて。」

 「そんなこと無いよ。それより、朋ちゃんぐらい健康な体なら、ちゃんと鍛えればそこそこ走れる様になると思うよ。」

 「えー。私、すぐ息があがっちゃうから、幾ら頑張っても無理です。」

 「コツがあるんだよ。朋ちゃん一生懸命走ろうとするでしょ?」

 「はい。」

 「そしたら、すぐ息があがっちゃうでしょ。頭が重くなって、肩が痛くなってくるでしょ。」

 「はい、その通りです。」

 「それじゃあ、ずっと続けたいとは思わないでしょ?最初はね。歩くぐらいのペースで、ゆっくりとちょっとの時間走るの。そしてちょっと休んで、またちょっとの時間、ゆっくりと走る。これを10分ぐらいやるのね。」

 「それでは、全然鍛えられないような。」

 「そんな事無いよ。全く運動をしてない人が歩くぐらいのペースで走ったら結構きついもんだよ。」

 「そうなんですか?」

 「そんなもんです。それを毎日続けて、一週間ぐらいすれば慣れると思うよ。そこに慣れたら次のステップに進むんだけど、まあ、やらないだろうからこれ以上は言わないけど。」

 「あうー。」

 「まあ、大事なのは、毎日、続ける事だよ。肺の心肺機能はいきなりは上がらないし、しかも、結構落ちやすの。2・3日休むだけで結構落ちるし。だから、毎日、徐々に徐々に上げていかないと駄目だって事を頭に入れとか無いと、ある程度のレベルには行けないよ。」

 「ある程度、走れる様になるには、毎日、走る訓練が必要なんですね。」

 「そういう事、そして次に重要なのは無理はしない事。」

 「わかりました。ちょっと、頑張ってみます。」

 美由はカメの方を向く。

 「ところで、カメさん。ウサギ主とかけっこをしても絶望的だと分かっていて何故、挑むんですか?」

 「遅いモノにも意地があるんですよ。速いモノにはわからない劣等感というものが。だから、速いモノを倒したい。この熱意がわからないとは。」

 「そうですよ。美由先輩は足が速いからわからないんです。私も足が遅いので劣等感でいっぱいで、、足が遅いのをいじられると、いつか見返してやりたいと思うもんなんです。」

 「朋ちゃんは努力すれば、そこそこ早くなると思うけど、カメさんはどうかな・・・・。」

 美由がそう言った瞬間、お尻を何かが触ってきた。

 「きゃあ。」

 美由は飛び跳ね、その場から素早く2m程離れた。

 そこにいたのは蛙主だった。

 「よう。魔法少女のお二人。」

 蛙主は片手をあげて、そう言った。

 「蛙主・・・。」

 「あ、カエルさんだ。」

 「何で、何も言わずに近づいてきて、私のお尻を触るんですか?」

 「いや、珍しくヒップラインの出ているものを着ておるから、つい。」

 「ついじゃないでしょ。ついじゃ。セクハラはやめてください。」

 「ところで、お前さん方二人、こんなところで何しとる?ここら辺を通るにしては随分時間が早いが。」

 朋はリュックを引っ張りよせ、蛙主にカメを見せる。

 「このカメさんが、ウサギさんのところに行きたいそうなので、連れて行ってるところなんです。」

 「ほう。カメさんとやら、こんにちはじゃ。ワシは三上の蛙主というもんじゃ。」

 「これはこれは、私は海ガメの化け物のカメ太と申します。」

 「カメ太さんとやら、何しにウサギの処に行こうとしてるのじゃ?海ガメが山奥まで来るとはよっぽどな事情があるとお見受けするが。」

 「はい、3年ほど前に、ウサギが海にやってきて、砂浜で競争をしたんですよ。そこで、私は負けてしまいまして、今日、その雪辱をはらそうと来たわけです。」

 「なるほどなぁあ。それは、大変じゃったろう。」

 「はい。ですが、親切なこの魔法少女?でしっけ?のお二人に助けていただいて、何とかここまで。」

 「ほうほう。で、これからウサギのところにいくんじゃろ?随分あるが、ワシが呼び出そうか?」

 「え?」

 美由が驚きの声をあげる。

 「蛙主って、ウサギ主と距離が離れていても、連絡がとれるんですか?」

 「とれるぞい。と言うか、お前さんがいつもワシを呼び出しているのにカエルをつかうじゃろ。あれをちょっと、応用すれば呼びだせん事はないぞ。」


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