白の猫と白の珠をさがす。
蛙主はテラミルの頭の上に乗りながら目を閉じる。姿勢を低くくとり、彼女の頭にべったりと張り付いた。
10秒ほどの時間が過ぎ、蛙主は目を開け、姿勢を戻した。
蛙主は不思議そうな顔をしてながら、首を横にひねった。
そして、美由の頭をポンポン叩きはじめる。
「魔法少女その1よ、お主が放出している力が邪魔で感知できん。元に戻れ。」
「分かりましたから、頭をポンポン叩かないでください。」
テラミルは美由に戻った。
「はい、これでいいでしょう。」
蛙主はまた目を閉じ、そして目を開ける。
「ここら辺には無い様じゃの。」
「そうですか。」
黒猫は残念そうにそう言う。
「どうしましょう?蛙主が感知出来ないんじゃ、私はこの姿でいるしかないような。でも、テラミルじゃなかったら、高速に動きまわれませんよ?」
二本脚で立っていたウサギ主が、4本脚で立つ。
「みんな、ワシに乗れ。」
美由はこの前の猫の暴走の時に乗った事を思い出す。
『うーん、また、あのロデオの様な体験をしなくてはならないのか。」
蛙主は弱った顔をしている。
「せっかく、お前さんの背中に乗らんで済むと思っておったのにのう。」
「蛙主もウサギ主の背中に乗った経験があるのか。」
「死ぬかと思ったぞい。」
「ほら、皆、四の五の言わず乗れ。他に手は無い。」
みんなうんざりしながら、乗る。
ウサギに蛙と人間とタヌキと猫が乗っている中々シュールな状態になった。
ウサギ主は、前と同じで乗っている人の事など考えず、荒い走りで駆け出した。
「ふ、振り落とされる。」
「こんくらい根性で我慢せい蛙主。」
「出来るかー。」
でかいウサギは更に加速をした。
街のあちこちに移動するが、感知にひっかからない。
みんなが、ウサギ主の荒い走りにヘトヘトになっていたし、蛙主の感知能力を疑いはじめていた。
「本当に蛙主、神石の感知能力あるんですか?」
「五月蝿い。しばらく使ってなかったから、感が鈍っているだけじゃ。ここら辺にも無い様じゃな。」
『大丈夫なんだろうか?その言い分は、かなり不確かなものに感じてしまう。』
美由たちが通う学校の近くに来た時、初めて、蛙主は神石の力を感じた。
「む。神石を感じるぞい。どうも、魔法少女の学校の中らしいのう。」
ウサギ主はそれを聞くと、猛加速をはじめる。
学校のフェンスが現れるが、ウサギ主はスピードを落とさない。フェンスは3m程あり、有刺鉄線が張られている。
「まさか、ウサギ。お主、あそこを飛び超えるつもりか。」
「まさかとは何だ。もちろん越えるに決まっておろう。」
「あの、有刺鉄線が見えんのか、あそこに突っ込んだら、みんな大怪我するぞい。」
「そんなものは気にする必要は無い。この鍛えた筋肉があんな鉄の線を破るなど雑作もない。」
『いや、あなたはいいでしょうけど、他の人たちはそんな頑丈には出来てない。』
ウサギ主はジャンプし、フェンスを軽々と超え、グラウンドに大きな音を立てて着地し、5mほど地面を滑った。美由とタヌキ主はその衝撃で、手を離してしまいグランドに転がる。
「ウサギ主様。少しは上に乗っている人の事も考えてください。」
「すまんすまん。」
美由は学校のグランドを見回した。誰一人いないし、電気が消え暗く静まり返っている。
『この学校は猫の化け物に呪われてるなぁあ。』
「さて、どうも、裏庭の方みたいじゃの。ここまで近づくと精神を集中せんでも分かる。」
そう蛙主が言う。
「・・・・・。いかなぁあ。どうも、もう直ぐ、石が目覚めるみたいじゃ。」