美由の呼び出し。
蛙主は美由の部屋に瞬間移動でやってくる。
部屋には誰もいなかった。
「なんじゃ、あやつ。走りに行っているのか?」
部屋を占領しているクローゼットの引き出しの前までやってくる。
「さて、せっかくきたんじゃし、やつの下着でも拝見するかの。」
そういって引き出しを開ける。
「おお、大量というほどではないが、やつの下着じゃ。」
そういって、ブラを頭に乗せた瞬間、美由の部屋の扉が空き、美由が中に入って来た。
「きゃ・・。」
美由は悲鳴を上げそうになったが、蛙主だと気づき、口を押さえる。
「なにやってるんですか、蛙主。」
「いや、お前さんに用事があったんで、呼び出しにきたんじゃが、いなかったんで、お前さんの下着をご拝謁しようと。」
「何でそうなるんですか。」
そう言って、蛙主の頭の上に乗っているブラジャーを奪い取り、クローゼットの引き出しにブラジャーを叩き込み、それを蹴って閉める。
「残念じゃのう。」
「で、何です?呼び出しって。」
「猫が神石をなくしたというのは知っているな?」
「何で、蛙主が知っているんです?」
「さっき、正式に猫から手伝う様に依頼があったからじゃ。」
「そうなんですか。で?」
「今から、探しに行く。手伝え。」
「私、明日テスト何で、徹夜は嫌なんですけどね。でも、神石の危険性については知っているので、しかたないですね。処でどうするんでしょ?私は神石がどんなものか知りませんし。猫の方でどういったトラブルがあるのかも知らないので。」
「まあ、もうしばらく、まっとれ、ウサギのやつと、タヌキのやつと、傷だらけの黒猫が来るはずじゃ。詳しい事は黒猫に聞け。ワシが言えるのは、どうも、猫達の間でトラブルがあり、その復讐のために神石を使うつもりらしいという事だけじゃ。」
「なるほど、で、どうやって探すんですか?」
「ワシが神石を感知できる。感知の間は動けんので、お前の頭の上に乗って移動する。」
「私が蛙主の足になれと。」
「そうじゃ。」
しばらく待つと、ウサギ主とタヌキ主と傷だらけの黒猫が美由の家の前に集まってきた。
蛙主は美由の頭の上に乗る。
「うーん。魔法少女その1よ。お主の頭の乗り心地はイマイチじゃのう。魔法少女その2の方が良いぞい。」
「ワガママ、言わないで下さい。朋ちゃんを巻き込むわけにいかないでしょ。」
「それなら、ぬいぐるみの様に抱きしめてくれ。その胸に包まれたい。」
「絶対嫌です。」
「むー。ケチじゃのう。魔法少女その2は抱いてくれたのに。あの無い胸で包まれるのも、あれはあれで良かったが。」
「いい加減にしてください。」
美由はテラミルとなり、窓から降りる。
テラミルは集まった化け物達を見回し思う。
『私の家は、化け物の溜まり場なんだろうか?』
黒猫の説明を聞く。
話をまとめると、ボス猫のいじめに嫌気が差した猫が、ボスの神石を盗んだという。何で盗んだかといえば、神石を使ってパワーアップし、街で暴れまくって猫達に復讐し、自分も死ぬだという。
神石がいつ目覚めるかわからないので、自分が盗んだ事を隠して何事も無かった顔で過ごし時を待っていたらしい。
そして、今日、その猫が神石を隠し持っている現場を押さえたが、逃げられたという。
『何て、迷惑な猫なんだろう。復讐なら、復讐したい相手だけにすれば良いじゃないか。なぜ、関係無い人達を巻き込むようなことをする。』
蛙主を頭に乗せながら、テラミルはそう思った。
「さて、行くかの。」
蛙主はそう言った。