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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
4話 神石
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テスト前日の日曜日。

 桜間 美由は典型的な、灰色の高校生活を送っている女子高生だった。

 男に興味が無いわけではないが、アイドルは中学入学と共に卒業したし、好きな同級生とかもいたが、恥ずかしがりな性格のためか恋愛には発展せず、中学校2年の中頃から後は、高校受験の準備や魔法少女で男に時間を費やす余裕がなくなり、いいなぁあと感じる男はいても、恋心を抱くまでにはいたっていない。

 家に気軽に遊びに行けるほどの友達がいるわけでもないし、街で買い物やお金のかかる遊びをするほどお金があるわけでも無いし、何か趣味があるわけでも無い。

 そんなこんなで、灰色の勉強漬けの高校生活を送っていた。

 今は日曜日の早朝なのだが、広めの公園で姿を薄めながら、白のウィンドブレーカーとウィンドパンツを着てストレッチをしていた。

 本日は、テスト前日なので補習は無い。

 美由はテストのための勉強はしない。と、言うより、テストの点より基礎固めを優先して勉強を行うタイプなのでテスト前日に慌ててやるらない様にしている。


 彼女のストレッチは、はじめ、まず、手を開いたり閉じたりする。

 次に、指を一本一本を素早く強めに伸ばしていく。

 そして、ゆっくりと時間をかけ、一本一本の指を伸ばす。

 ストレッチは、ゆっくと時間をかけて伸ばした方が効果があるのだが、はじめから、ゆっくり時間をかけてやると、かなり不愉快があるのだ。そために、結構、ストレスが溜まる。

 だが、はじめに、早く強めにやって瞬間的に筋肉に強い刺激を与えてた後、ゆっくりと時間をかけて伸ばすと、そこまで不快感を感じなくなる。

 だから、はじめ早く強くやり、次にゆっくり時間をかけてストレッチをするようにしている。


 指一本一本が終わったら、次は指全体、手首、腕、肩、首、腰、足の順番で、そして色々な部位を同時にストレッチするものへと順番にやっていく。

 彼女はこれを30分じっくり時間をかけて、毎日やっている。

 そのため、美由の体はかなり柔らかい。

 前に体を倒して、膝に顔を付ける事も出来るし、股裂きなども、相撲や柔道の選手が出来る角度ぐらいまで広げられる。

 公園で、こんな事をやるのは、ストレッチには意外と何も無い空間が必要で、美由の家にはそのスペースが無いからであった。

 中学の頃はやりもしなかったので、クラスでも体が固い事でいじられる程、固かったが、魔法少女になってからは、毎日やるようになり、この柔らかを手に入れた。

 ストレッチには、頭を良く回転させる効果があると美由は思っている。

 ストレッチを毎日やりはじめる前は、結構、頭の回転が遅い、おにぶさんだったのだが、これをやりはじめてから、結構、頭が良くまわるようになったと、個人的には感じていた。

 早朝なので、公園の横の道路を健康を目的とした老夫婦が走って通り過ぎたりしていたが、公園には美由しかいなかった。

 そこに、傷だらけの黒猫がのんびりと歩いてくる。

 「おはようございます。魔法少女様。」

 「おはようございます。猫さん。」

 「何をされているので?」

 「見て分かるでしょ。と、言うより、私を監視しているんだから、晴れの日はここで、ストレッチをやっているのは知っているでしょう。」

 「これは、手厳しい。では、何のためにそういう事をやっているのでしょう?」

 「魔法少女になれば確かに強くなりますが、自分の体を補助的に強化するだけなんです。ですから、普通の状態でどれだけ強いかが大事になるので、体を鍛えているんですよ。それに、強化した分の力を最大限に使うと、肉体がかなりダメージを受けます。」

 「ほう、そのダメージを緩和するためには、体を柔らかくする必要があると。」

 「そうです。体が固いとダメージが軽減され難いので、これくらいの柔らかさが必要になってくるんです。」

 「そんなことを、毎日する必要があるので?体の柔らかさは、そこまで変化すると思えないのですが。」

 「私はどうも、すぐに、体が固くなるみたいなんです。それにパワーアップのために筋肉をつけると、体が固くなるんで、柔らかい伸びのある筋肉にしていくには毎日のストレッチは、かかせないんです。」

 「人間は大変ですね。鍛えなくては強い体が維持できないとは。」

 「ただやれば、良いというものでもないんですよ。やり方を知らないと、大した効果が無いんですよ。」

 「面倒なもんですねぇえ。鍛え方を間違えると、ただ無駄なだけとか。」

 「ええ。ストレッチは早くやっても、そんなに効果はないのですが、ゆっくりと時間をかけて、やると結構効果があるんですよ。」

 「私は体を柔らかくするために、毎日、そんなに時間をかけてやる事に、あまり、魅力を感じませんが。」

 「ところで、今日は何の用でしょう?」

 「今日は特に何もありませんが。」

 「珍しいですね。何の用も無いのに猫が、私のところに来るとか。」

 「いけませんか?」

 「いいえ。そうは思いませんが。」

 美由はストレッチを終え、その場にとどまりながら駆け足をして、体を温める。

 「私、これから走りに行くので、それでは。」

 「はい、頑張ってください。猫は人間みたいに長い時間走れませんから、お付き合いできませんが。」

 「来て貰われても困ります。」

 美由は自分の存在を普通に戻し、道路に向かって、走りだした。

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