事後報告(2)
翌日の木曜日が来る。
美由は不思議に思っていた。
昨日は後輩から「おねぇえ様」とあまり呼ばれ無かったが、今日からまた「おねぇえ様」と呼ばれ、挨拶をされるようになった。
昨日は存在を薄めていなくても、呼ばれる事は無かったが、今日は存在を『どうでも良いそこら辺の人』と認知されるぐらい薄めているのに呼ばれていた。
『昨日は、呪いの指輪の件があったけど、彼女達が知るはずはないしなぁあ。』
美由が「おねぇえ様」と呼ばれなくなったのは、正確には昨日では無く、二日前の昼からであった。
女子の集団が美由を囲んだ事件が学校中に広まり、女子の心を引かせていたのだ。
ただ、須王寺麗奈が、『彼女をおねぇえ様と呼ぶ事に前向きな考えを持っているらしく、ライバル視しているらしい』という噂が流れ、また、呼ばれる様になった。
当の美由はそんな噂を聞いて無いので、不思議がるのは当たり前だった。
結局の処、この噂は、須王寺麗奈が本人が流したものだった。
彼女は自分のネットワークをつかい『らしい』という部分を強調させて、流させた噂だった。
その目的は、聖エルナール学院の美由へ不満を持っている人間の嫉妬心を煽る事だった。
彼女の撒いた種は、テストが終了して数日後に花を開かせる事になる。
今週は何事も無く終わり。来週からは4日間のテスト地獄がはじまる。
流石にテスト前の土日は補習は無かった。