事後報告
「へぇえ。色々言ってたけど、結局、カエルさんが、全部、解決したんですね。」
朋と美由は学校の帰り道を、二人で歩いていた。
この二人の下校は鬼の様に学校を出るのが早い。美由は目立ちたくないという理由で、長年つけてきた癖なのだが、朋は美由を見つけて必死に追いかけて来たので早かった。
「そうだよ。魔法の道具が指輪という軽いものだったし、その人が気を失いかけてたから、そうした方が早いと思ったらしいよ。」
「でも、私も活躍したかったのに。」
美由は朋のその言葉を聞き、朋の頭に拳を当てる。
「め!朋ちゃんは、これ以上、関わっちゃ駄目。」
「あうー。だってぇえ」
「あまり言う事、聞かないと、冷たくしちゃうぞ。」
「それは嫌です。」
朋は少し驚いた顔をした。
「それより、朋ちゃん。私が渡した参考書をやるなら、テストが終わってからやりなさい。」
「どうしてですか?」
「テスト勉強があるでしょ。あれは基礎学力をつけるためには使えるけど、テストで良い点数をとるまでには時間がかかるから、今は置いて、テスト用の勉強をしなさい。やるのはテストの後から。テストが終わったら、私が使い方を伝授してあげよう。」
「約束ですよ。」
「はいはい。」
「美由先輩、返事は一回ですよ。」
「はい、わかりました。まるで、お母さんみたいだよ。」
「えへへ。」
片奈はまだ、学校にいた。
自分の机の上にハンカチを置き、その上に指輪をを置いて、じっと、指輪を見ていた。
『私はこの指輪をもう使えない。あの女の髪の毛を手に入れても、もう、恐ろしくて、はめる事が出来ない。さっきまで、私がこの指輪を外すのを拒んでいたのは、指輪を外せば、もう二度と、恐怖でつける事が出来ないと、本能的に悟っていたからなのね。私はあの下品な女が、派閥を作り私と同じおねぇえ様になる事を指を食えて見ているしか無いというの?」
片奈はイスから立ち上がり、ハンカチを手にとり、指輪をつつんで、ポケットに閉まった。
「片奈おねぇえ様。」
そう声が聞こえてくる。自分の派閥の子だった。机に座っている時の片奈は近寄りがたい雰囲気だったので、声がかけられなったのだ。
片奈は笑顔をつくり、派閥の子のもとへと歩みよった。
「よかったです。座っていた時、物凄く真剣な顔をしていらしたので、何かお悩みでもあったのかと思って、心配しました。」
「気にする必要は無くてよ。」