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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
3話 派閥と人気と恨みと
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物質透過とだるまさんが転んだ。

 午後の授業が始まる。

 蛙主は、トイレで水浴びをした後、3年の美由のクラスの扉の前に立っていた。

 『さて、はじめるかのう。』

 彼は存在を薄くしはじめる。

 『流石に、ここまで薄くすると、しんどいのう。』

 扉に手を触れると、手は扉に吸い込まれていく。

 『大丈夫そうじゃの。』

 蛙主は扉をすり抜け、教室に入る。

 そこでは、男の先生が英語を教えていた。蛙主は英語がさっぱりなので、何かの呪文にしか聞こえない。

 美由を発見する。彼女は、かなり体調が悪そうに見える。

 蛙主は宇宙遊泳をするかの様に浮き上がり、ゆっくと移動して彼女の机を目指す。

 『この状態は、浮けるが、移動が遅いのがネックじゃのう。』

 美由の目の前に降り立つが、美由は全く気づかなかった。蛙主は彼女の顔の前で手を振るが、全く反応が無い。 

 『流石に魔法少女でも、ここまで薄くなると、見えんようじゃのう。しかし、こりゃ、だいぶ、きつそうだのう。』

 そう言って、彼女の胸にさわろうとするが、指が通過するため、触れない。

 『この能力も良し悪しじゃなぁあ。見えはせんが、セクハラが出来ん。』

 蛙主は窓際の方へ顔を向ける。

 『さて、こやつが見えんのだがら、相手が多少見える力があっても見えんじゃろ。どこにおるかな?確か、一番、後ろの窓際だったかのう。』

 蛙主は片奈 麻奈加を見つける。

 『おったおった。多分、あの子じゃな。魔法を使うと見えた場合、ワシが見えてしまうから、後ろにまわらんとな。』

 美由の机の上から、浮いて泳ぐ様にゆっくりと、教室の後ろへと向かう。

 そして、彼女の真後ろに着く。

 蛙主は、そこから彼女の指を見た。そこには、緑の宝石のついたリングがはめられている。

 『これか。よー見えとるが、確かに、人には見えん様になっておるなぁあ。多分、指にはめると、透明になる仕組みなんじゃろうな。』

 蛙主は魔法的力を見る。

 『ふむふむ、そこそこ魔力を発動しとるなぁあ。そんなに多くはないが、これが永続的に続くとなると、随分、きついじゃろうに。』

 ふと疑問がよぎる。

 『それにしても、呪いの誘導といい、透明化といい。魔法の道具的には、随分と手のこんだ作りじゃのう。まるで、ゆっくりと、時間をかけて証拠が残らないように、自然に死んだ様に見せかける暗殺のための道具じゃのう。装飾については全くセンスが無いが。』

 蛙主は、魔法を唱えようとした。

 その時、片奈 麻奈加の体が少し動いた。

 蛙主の動きが止まる。

 『気づかれたか?』

 でも、彼女は後ろを振り向かない。

 蛙主は10秒ぐらい動かなで彼女の後頭部をみつめていた。

 彼女が動かないので、魔法を唱えはじめると、彼女の首が横に大きく動いた。

 蛙主はまた動けなくなる。

 『な、なんじゃ? 本当に見えとらんのか?』

 今度は30秒ほど待つ。そして、再々度、魔法を唱える。今度は、彼女は動かない。

 蛙主は窓の外に、見えるモノにしか見えないすずめの形を作り出す。そのすずめは、動き出し、窓の狭い空間を踊るように移動する。

 彼女はそれに気づいたのか窓の外を見つめた。

 『どうも、見えてるようじゃのう。』

 すずめは、はばたき、いなくなる。彼女はそれを確認すると、黒板へと顔を向ける。

 『見えてるのう。』

 蛙主は、用が済んだので扉の前まで、ふわふわと浮かんで移動する。

 そして、もう一度移動し、片奈を見た。

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