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洗いモノ2

 須王寺麗菜は、洗い場を見て不思議に思う。

 「ねぇえ。こう言うのって、桶に水を貯めて、そこに洗剤入れて、あわだてて、それに食器をつけて洗うものじゃないの?」

 美由の洗い方に疑問をもった、麗菜はそう口に出す。

 「ああ。それ、私も思った。」

 桐野も麗菜の意見に同意する。

 美由は少し考える。


 確かにそういう洗い方もある。

 むしろ、そっちの方が一般的だ。


 ただ、美由はそのやり方が、好きではなかった。

 正直な処、美由的には、桶に水をはり泡立て、食器をつけて、洗うやり方は清潔とは思えなかった。

 そして、人間が介入するのであれば、数十個の食器を処理するだけなら、美由のやり方の方が早いとも思っていた。


 確かに、今回は食器を洗う数が多いし、色々な種類の食器を洗う必要がある。

 桶を使った洗い方の方が、もしかしたら効率的なのかもしれない。


 美由の考えはあくまで、自分が経験してきた食器洗いの経験則にしか過ぎないわけで、桶方式の方が楽という台詞を吐かれる可能性を考えると、色々と悩むのであった。

 「やってみたら、どうですか?何事も経験ですし。」

 判断の付かない美由は、そう言わざるを得なかった。

 「何か、含む言い方ね。」

 桐野がッキっとした目で美由を見てそういう。

 「そうそう。私は桜間さんのやり方が知りたいの。」

 麗菜がそう言った。


 『困ったな・・・。』

 美由はそう思った。

 美由は、洗い場の下にある、引き戸を開け、桶を取り出し、洗い場の空いているスペースに置き、蛇口をひねって桶に水を入れ、洗剤を溶かし、手でかきまぜ、そこそこ泡だてた後、桐野が洗い積み上げた皿のタワーを桶に放り入れちょっと洗った。

 すると、桶の水は、かなり濁り、洗い残した固形物が浮かび上がる。

 「桜間さん・・・・。これは、ちょっと・・・。」

 何かに抵抗する様な声で、麗菜はそう言った。

 桐野も手を出そうとしない。

 美由から見れば、そんなに汚いとは思えないレベルである。

 と、言うより、この程度のレベルなら、むしろ、自分が率先して洗ってあげようかなと、思うレベルであった。

 二人の引き顔を見て、駄目だろうなと思った。

 「いいですよ。二人とも、私、一人で問題ないんで。」

 「いいや、駄目よ。私の母親とか、これを毎日やっているんだし。」

 桐野は気力を振り絞ってそう言った。

 「そ、そうね・・。」

 麗菜も同意する。

 『・・・・。しかたないな。』

 美由は桶を、皿が外に出ない様に倒し、水を流し、水を貯める。

 「お二人とも、こっちをお願いしますね。私は他のを洗っていますんで。」


 美由はスポンジに洗剤をつけ、手際よく食器全体に洗剤をつけていく作業をしていく。

 二人は抵抗を覚えながら、桶の水の中に沈む食器を取り出し洗っていく。


 『この二人を見ていると、私って、清潔じゃないんだな。』

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