猫の会議
「じろーどん。非常時とはいえ、そいはいかん。幾ら、手が足りんからと言って、上に立つもんは、ルールを厳守するようにせにゃ、統率がとれんようになる。」
「そうですよねぇえ・・・。楽になるからと言って、罪があるものを起用したら、みんな好き勝手にやって、モラルハザードを起こしますからねぇ。」
「4・5人ぐらいの仲良しグループであれば、そいでも問題なか。ただ、オイ達は大所帯やっでぇえ、公平なルールを示さんと、下のもんはついて来ん。」
「仕方がありませんね。」
テラミルは、あの『だがや』とか言っている、ふとっちょなメス三毛猫にボスをやらせるより、この大猫にボスをやらせた方が、良いのでは?と思った。
「いや。流石はサスケさんですね。どうも、私はこういう、統率には疎くって。やはり、サスケさんにNO2に就いて貰った方が。」
テラミルもその意見には同意した。
今、自分が治療している黒猫は、組織の上に立つにしては甘い処があるし、貫禄が無い。問題が発生した場合の対処をきちんとやってきたため、何とか、今までやってこれたが、それも限界に来ている。
「そいは、断り申す。オイは自分の処だけで手一杯じゃ。」
「まあ、この話は後に回して、今は、救済者への対応です。」
傷だらけの猫が出した方針は、救済者を監視し、彼等の移動ルートを先読みして、その先にいる猫たちに情報を流し、彼等に近づけない様にするというものだった。
監視自体は今の手数でもやれない事はないのだが、猫たちに速やかに退避してもらうための根回しを行っておく必要がある。それに情報収集も欠かせない。あと、組織を運用するための食料確保も必要になる。
「はい。治療終了。」
そう言って、美由は変身をとく。
「これから、どうするんですか?」
美由は傷だらけの猫に聞く。
「そうですねぇえ。ひとまず、救済者を探します。その後、私の元部下二人に監視をお願いして、その間に、私とサスケさんであちこちに根回しをしつつ、彼等に仕事を教えてながら組織を構成していくって処ですかね。」
傷だらけの猫は、立ち上がる。
「では、これで失礼します。」
「頑張って下さい。」
傷だらけの猫は窓枠に飛び乗り、美由を見る。
「ああ。魔法少女様。」
「何でしょう?」
「手は出さないで下さいね。あなたは人が良いので。それに、魔法少女のあなたの存在を彼等に知られると、より、やっかいな事になりそうですし。」
「分かりました。」