表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/270

美由の部屋で猫の集会

 美由は風呂からあがり、二階の奥にある自分の部屋に戻ってくると、窓の向こうに何か大きなモノがいる事に気付く。

 『何?』

 今まで、あの窓を使って来訪者が来た事が何度かあったが、ウサギ主ほどでは無いにしろ、あんな大きな来訪者は知らない。

 その大きなモノは窓をコツコツと叩く。

 『私を呼んでる?』

 「美由ちゃん。ここ開けて。」

 中学生ぐらいの少女の声が聞こえてくる。

 間違い無く、幽霊の声だ。

 「ゆうれいさん?」

 そう言って、曇りガラスの窓を開けると、そこには、大きな黒猫の上に、けだるそうまたがっている傷だらけの猫がいた。

 「すいません。魔法少女様。中に入っても。」

 いつもの覇気が無い、外見が傷だらけなので分かり難いが、声の調子から、かなり弱っている事がわかる。

 「どうぞ。」

 そう言って、大きな猫は窓から入り美由の勉強机を経由して、ベットの上に傷だらけの猫を置く。

 「美由ちゃん。ジロー弱っているの助けて。」

 セーラー服姿の少女はそう言う。

 「どうしたんですか?」

 「ちょっと、色々とあって。」

 「もしかして、猫たちとの抗争で?」

 「違うの。変な人達に突然襲われて・・・。」

 普段は明るい幽霊が、心配な顔をしている。

 「とにかく。治療をはじめます。」

 美由は魔法少女に変身し、治療をはじめる。

 





 「救済者?」

 治療をしながら、そう言った。

 「うん。世界の救済とか言って、私達みたいなのを不浄なものと決めつけて、殲滅しようとするの。二年前にジローと別れた時も、同じ人達じゃないけど、その人達に襲われたのがきっかけで。」

 テラミルは『なるほど』と思った。

 傷だらけの猫が退魔師をやたら警戒する理由が分かった気がした。

 過去に痛い目にあっているから、そう動くんだと。

 しかし、タイミングが悪すぎる。ここいらの猫の組織が瓦解して、そういった類いの人間への警戒網が無くなった時に、その人達が来てしまったのだ。どうも、この人達も運が無い方らしい。

 『脆弱になった処に、運悪くか・・・。』

 「処で、この大きな猫さんは、何ですか?」

 テラミルが幽霊に質問する。

 「ああ。この猫さんはサスケさんと言って、今はここいらでは最大勢力のボスになるのかな?」

 「魔法少女どん。挨拶が遅れもした。おいはサスケと申す。」

 「どうも・・・。」

 『聞き取り難いしゃべり方だなぁあ。』


 コツコツ


 また、窓を叩く音が聞こえる。

 今度は普通の猫らしい。

 「すいません。魔法少女様。入れて貰えるでしょうか?」

 テラミルは治療をいったん止め、窓を開けると猫が入って来る。



 少し時がたち


 「あの、ですねぇえ・・・。」

 テラミルの回りは猫だらけになっていた。

 狭い部屋に猫がひしめき合う。

 「ここは、猫の集会場じゃないんですよ。」

 「すいません。警戒網の再構築をしないといけないんで・・。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ