一緒に帰る近藤兄妹
近藤兄妹二人は遙人の車で、片道1時間ほどかかる自宅へと帰宅途中であった。
「ジェミニ。困るんだよね。先生を足に使うの。」
助手席の後ろに座っている妹に、運転している兄がそういった。
「あら?いいじゃない。ウチの学校は身内による車の送り迎えには寛大だし、兄様はあそこの先生ではないでしょ?」
「君は聖エルナール学院の生徒であるんだよ。それより、今日はどうしたんだい?君専用の車を返して、僕と帰りたいなんて。」
「父様がね、兄様にお見合いをさせようとしているのはご存じ?」
「いいや。初めて聞いた。」
「やっぱり、まだ、話してなかったのね。」
「父さんとは、しばらく会ってないからねぇえ。ずっと学校の独身寮だし。」
「兄様もたまにはウチに帰ってくればいいのに。ウチは近くなんですし。」
「妹達と遊ぶのは好きだけど、父さんや兄さん達は、僕を嫌ってるからなぁあ。それにしても、離縁されているに近い僕に、父さんは何で、お見合いをさせようとしているんだい?」
「良くは知らないけど、資本提携のためみたいよ。」
「今時、資本提携で政略結婚かい?相手の会社が欲しければ、金さえ積めば幾らでも手はあるだろうに。」
「そういうのが難しい相手なんじゃないの?」
「ふーん。で?何処の誰?」
「あら?兄様、興味あるの?今、私に敵対している人達を狙っているというのに。」
「そりゃねぇえ。無視してすむなら、そうするけど、そうじゃないんだろ?」
「ええ、そうね。」
「で、誰だい?」
「確か・・・・。」
「ふーん。知らないな。」
「私は会った事があるわよ。東京の子だったはず。」
「何でこんな田舎に本家を構えている様な処で、その家の後継権もない僕なんかに。」
「田舎とは、随分ね。」
「この県も周辺の県に比べれば、都会だけど、所詮は田舎さ。聖エルナール学院だって、周辺の県の金持ちをかき集めてはいるけど、東京や大阪の一流私立に比べれば見劣りするわけだし。」
「他の兄様方は結婚されますし、残っているのが兄様しかいないからでしょ?よその人達には、兄様に後継権が無い何てわからないわけだし。」
「で、君は、これから僕を父さんに会わせるために、この車に乗り込んだのかい?」
「違うわよ。兄様と一緒に下校がしたかっただけ。」
「ところで、兄様。須王寺月見ってどんな子?」
「月見君かい?そうだなぁあ。麗菜君より、背かが低くて胸が無いな。」
「そういう事を聞いているんじゃないの。」
「ええ?大事な事だよ。僕は胸がありすぎる女性より、ちょっと、小さめが好きだから。もちろん、大きいのも悪くはないんだけど。」
「兄様の性癖ではなく、どんな性格かを知りたいの。」
「うーんと、頭は良い子だけど、勉強熱心ではないから、成績はいまいち。初見での印象は大人っぽい女性に見えるけど、良くみると子供だよね。無理に大人になろうと、背伸びしているというか。あとツンデレだね。ただ、デレは姉にしか見せないけど。」