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不思議な踊り3

 「だから、カーブが投げらる様になれば、ストレートの縦回転が綺麗にかけられるから・・・。」

 「私は速球勝負投手にしたいの。」

 「いや、綺麗なストレート変化を覚えるには、カーブが出来るようにならないと」

 近藤と桐野は色々言い合っていた。


 「ストレートって、変化するんですか?」

 朋が美由に尋ねる。

 「さあ。」

 「ところで、次の球技大会って、ソフトボールですよね?投手の上投げって禁止だったような。」

 

 朋以外の三人の動きが止まる。

 「い、いいのよ。ちびっ子。きっと、何かの役に立つだろうし。ほら、キャッチボールとかに応用出来るし。」

 桐野が言い訳をする。

 「さっき、君が教えていた投げ方ではキャッチボールへの応用は難しいと思うぞ。キャッチボールスタイルに近い投球法に変えた方がいいじゃないか?」

 近藤がそう言う。

 「う、五月蠅いわね。」

 「でも、美由先輩なら、バレーの方がいいんじゃいですか?身長高いし。」

 朋が再度質問する。

 「ああ・・・。」

 そう、間抜けな声を発したのは美由だった

 「それはね。朋ちゃん。作者が野球以上にバレーを理解してないからなの。」

 「言い訳が多いのです。」

 


 ひとまず、ピッチング練習を続ける事になるが、近藤と桐野では投げ方の思想がまるで違った。近藤の投げ方の思想は所謂、キャッチボール的な投げ方に体重移動の概念を加えた一般的な投げ方であった。近藤と比較すると桐野の投げ方はかなり特殊な事が分かる。

 桐野の場合きっちり、伸ばす処は伸ばすというやり方だったが、近藤の場合は、きっちりとするのではなく、さほど、伸ばす事も無く、何と無く全体の動きが連動させる様な感じであった。

 ある程度野球の才能がある人なら近藤の方が覚えやすいのだが、美由にはそういうものが無いらしく、全く上手くいかない。かと言って、桐野の教え方で上手く行くかと言えば、それも駄目であった。

 それに、それぞれ、思想が違うので、言う事が違っていて、美由を混乱させた。


 「美由先輩大変そうなのです。」










 須王寺月見は中庭の人が居ない所で、携帯を使って電話をしていた。

 彼女の手に握られている携帯は、二つ折りで、頑丈そうで、重そうで無骨な携帯電話であった。

 この無骨な携帯電話は月見の趣味ではない。彼女としては女の子女の子した携帯が欲しかったのだが、彼女の仕事上、壊れにくい頑丈なモノでなければならないので、その携帯にしただけであった。


 月見は携帯をたたみ、自分のお世話係の二人組と合流する。

 「すいません。お二人さん。待たせてしまって。」

 「いいえ。お気になさらずに。それより、次の場所へ参りましょう。」

 三人は歩きはじめる。

 「ところで、ねえ様は何処にいるかご存じ?」

 「須王寺おねぇえ様ですか?私どもは知りません。」

 「そう。」

 月見は姉ラブではあったが、今、気になっているのは、美由と朋である。姉の処に行けば、美由もいるだろうし、それに付随してあのちびっ子も居るだろうと何と無く思っていた。

 「ところで、あなた方、成美矢朋って一年生知っている?」

 「ああ。はい。少しは。」

 「どんな子?」

 「どんな子かは良く知りませんが、結構、話題の絶えない子で、入学式の時、転んでみんなの前でパンツを見せたり、持久走大会の時、転んでお姫様だっこをされたり。」

 「そう、だったら、桜間先輩はご存じ?」

 二人は美由の名前を聞いて口ごもる。

 「どうしたの?」

 「その、桜間先輩は(セイント)エルナール学院の派閥と色々あって・・。あの方には関わらない方が・・。」

 「姉さんと仲がよさそうに見えたけど・・。」

 「麗菜おねぇえ様は最近、あの女と、もう一人、桐野という女と仲良くなされていますが、正直、私達、(セイント)エルナール学院の女子はあまり快く思っていません。月見さんの方から、あのお二人と仲良くするのを止める様に伝えておいて貰えませんか?」

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