講義が終わり
「中々、興味深い講義だったわね。」
生徒全員が体育館入り口を目指し歩んでいる処に、須王寺麗菜が後ろを歩く二人にそう言った。
「そうですねぇえ。」
美由も同意する。
「他の女子は納得してないみたいだけど。まあ、こんな講義に納得している私達って、おっさんで喪女なんでしょうね。」
桐野がそう言った。
「あら?私も含むのかしら?」
麗菜がそう切り返した。
「違うのかしら?」
「違わないかも。」
麗菜は不適な笑みを浮かべてそういった。
「麗菜ねえさま。」
そう声が聞こえたと思うと、華やかな少女が麗菜の胸に飛び込んだ。
「月見。どうしたの?」
月見は麗菜の胸から瞳をのぞかせる。
「せっかく、ねえさまと同じ学校になれたのに、全然会えないから。」
「しょうが無い子ね。」
壇上から降りる近藤先生に近藤妹が近づいてくる。
妹はかなり怒っていた。
「兄様。何で、あんな女子生徒を敵に回すような。私の立場も考えて下さい。」
「ジェミニ。おまえはおまえ。俺は俺だろ?」
「勝手な。それに、兄様だってかなり女子の評判落としていますわよ。」
「正直、あの内容で失望する女に興味は無いから。」
「美由せんぱーい。」
朋が甘えた声で美由に近づいてきた。
「どうしたの朋ちゃん?」
「美由先輩、聞いて欲しいのです。」
「何?」
「手を繋いで下さい。」
そういって、朋は片手を出した。
「?」
美由はその手をつかむ。
その瞬間、不思議な感覚に襲われた。この感覚には覚えがある。イメージ戦闘に入る感覚である。
不思議な感覚を感じたのは美由だけでは無かった。月見も感じた様で、刺す様な目で朋を見る。
「えへへ。がんばったのです。」
「へぇえ。」
「兄様聞いているの?」
近藤兄は、5人の集団に見とれていた。
「にいさま。」
近藤ジェミニは、自分を無視する兄に対して怒気を強める。
「ああ、ジェミニごめん。つい、あの5人組に見とれて。」
妹は兄の視線の先を見る。
そこには、自分がそれぞれ敵視する女達がいた。
須王寺姉妹・桐野・美由は自分の派閥の敵だが、朋も本の効果が発動した件で敵視されていた。
「兄様?もしかして、あの5人組を狙ってます?」
「いけないかい?」
「いいわけないでしょう。あそこにいるのは全員、私の敵です。」