11話はじまり
美由と桐野は一緒に登校していた。
「そっか、そっか、幽霊さんは、昨日のうちにどっか行ったか。せっかく、仲良くなれたのに残念だなぁあ。」
桐野は明るくそう言った。
「まあ、事情がありますし。しょうが無いかと。それに、まだ、この街にはいるみたいなんで。そのうち、また、あえるかと。」
「そう言えばさ。私達の周りって、男っ気無いよね。」
「桐野さん。前もこの会話しませんでしたっけ?」
「いいのよ。聖エルナール学院から来る近藤先生を登場させて、恋愛を臭わせるみたいな話しをしたから、話の展開的に私達の男関係の情報を整理せざるを得ない事情があるのよ。」
「ぶっちゃけた。」
「ちなみに私は、小学生時代を含めて男とつきあった事は無いわよ。それなりの美人だけど、小学校時代から周囲の評判が悪く、男子からもブスキャラに思われているという設定らしいから。」
「うお。設定って・・。もう少し、展開を練っても良い様な。」
「そこらへんの展開やっていると、話しが長くなるから、端折るそうよ。桜間さんも、確か男とつきあった事は無かったわよね?」
「はい。今は勉強で忙しいので大学生になったら考えるみたいな設定だったはずです。」
「ちびっこも、いなかったというので良いのかしら?」
「朋ちゃんですか?さあ。今はいないみたいですけど。昔、いたかどうかはまでは・・・。」
「まあ、今いるかどうかだけ読者が確認できればいいのよ。須王寺さんは、いるかいないか良くわからないという設定だったわよね。」
「そうです。少なくとも私達はそういった話は知らない。という事になっています。」
「よし。」
「何が『よし』かは疑問ですが。」
「ここからは、新設定の話しなんだけど、聖エルナール学院組の三大派閥のうち、NO2とNO3には、確か彼氏がいるのよね。」
「近藤さんは、生徒会長と付き合っているんでしたっけ?」
「そう、みたいね。あの生徒会長も聖エルナール学院組よね。」
「生徒会は聖エルナール学院組が仕切っているという設定だったはずなので。多分、そうではないかと。」
月曜の全校集会で須王寺月見と近藤先生が紹介される。
理由は良くわからないが聖エルナール学院の女子生徒たちは色めき立っていた。
全校集会後はロングホームルームになっているが体育館でそのまま近藤先生の高校生活での恋愛という講義をする事になった。
「良く、ワイドショーや報道番組・恋愛とかを取り扱ったバラエティーなどで、二十歳までの処女喪失率が9割とか8割とかで、恋人が2・3人いるのが普通というデーターがありますが。あれは疑ってかかるべきです。まず、サンプル数が50ぐらいしかないので。それに、原宿でそういったギャル選別してやってるい場合が多いので、ハッキリ言って信用してはいけません。大規模な調査では、おおよそですが中学卒業頃の処女を失っている女子が1割、高校の間が二割程度で、高校卒業あたりで3割。二十歳頃で5割だそうです。男子の非童貞者は高校卒業頃で1割。二十歳で3割程度だそうです。このデーターから言える事は、高校時代、女と1回でもつきあえる男性は2割から3割程度。Hまでいける男性は1割を超えるぐらいだという事です。男子には残酷な話しですが、7~8割の男性はモテないのが当たり前と思ってください。普通よりちょっとぐらい上ぐらいのレベルでも高校時代、女子と付き合うのは難しいという事を男子に言いたいのです。普通より下だとまず無理。一部のモテる男は別にして、無駄に終わる恋愛に割くよりまずは勉強です。」
会場がざわめく。
「先生、そんな事より、モテるテクニックを教えて下さい。」
一人の男子がそう言った。
「そんな事とは、大事な事だから頭に入れといて欲しいんだけど。で、質問のモテるテクニックというのは、清潔にしとけぐらいしかないんだけど。考え方ぐらいは覚えておいた方がいいかな。何も知らない女は野生の猿と大して変わりません。」
さらに会場がざわめく。
「高校卒業頃で、男子の非童貞が1割程度なのに対し、女性の非処女が3割という事は、学校という群れの中で1割の優秀なオスにメスは集中するという事です。そしてこの1割の男が女をとっかえひっかえやっているという図式が浮かび上がります。学校という群れの中で高い優秀性をアピール出来ないオスは駄目だという事です。上位に入るイケメンだったり、成績が上位だったり、運動が出来たり、暴力で学校を抑えていたり、生徒会に入っていたり、話術が得意だったり。群れの中で優秀性をアピールできる材料が必要だという事です。」
「そんな事ないです。」「極論だ」
とかの女子・男子ともに反論する。
「まあ、全部が全部、そうではないけど、自分の周りにいる女子のスキな男の6割ぐらいがそれに該当してるんじゃないかな?話しを変えて、男でモテるけど、恋人として付き合う期間が短いのは男と女のパートナーに求め居るものが違う点。男は対等のパートナーだけど、高校生ぐらいの女性が恋人に求めているものは、3つあって。まずは父親の代わり、次に母親の代わり、その次に、他の女に自分を大きく見せる事が出来るアクセサリー的存在。」
「ええ?父親?先生の思い込みじゃ?」
近藤はあえてその発言を無視する。
「僕には高校生と5歳になる妹がいるんだけど、高校生の妹や、僕が付き合った女の人のワガママって良く理解できてなかったんだけど、5歳の妹は親子ぐらい歳が離れているから、自分の子供の様に接してしまうんだ。高校生の妹や、僕が付き合った女の人達が自分に主張してたワガママって、そういうのを求めていたんだなと、やっと分かってね。この子達は子供の自分を両親の変わりに、甘やかしてくれる存在を恋人に求めているんだなと。」