表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/270

10話終わり。

 「何故だー。」

 元部下の猫は、傷だらけの猫にマウントをとられ、首根っこを前足で押さえられながも、もがきながら叫ぶ。

 「不穏当な発言をしていて、あれだけ殺気を放っていて、我々が電線という不利な立ち位置にいて、あれだけスキがあれば、それは狙うでしょ。」

 「卑怯だぞクロ。勝負だー。正々堂々と戦え。」

 「ええぇえ。私は戦いたくないんですけど。」

 「ジロー。私が戦っても良いよ?」

 「あなた単体ですか?」

 「まさか、ジローの体をかりて。」

 「だそうですが。どうします?私はやめておいた方が良いと思うのですが。」

 「いいだろう。それで受けてやろう。」

 「知りませんよ。」

 黒猫は後ろへ飛び退く。

 元部下は起き上がり、戦闘態勢に入る。

 「よくも、私がのし上がる計画をつぶしてたな。クロ。」

 「全く記憶に無いんですけどねぇえ。私がした事と言えば、うちがお隣のグループに昨夜迷惑をかけたという事でそこのボスのクレームを聞いた事と、昼にうちがお隣に攻め込んだとき、どうも惨敗しそうな状況だったので、しんがりを勤めたぐらいで。他には何も。」

 「嘘をつくな。お前が裏から手をまわさなければ、我々の精鋭部隊が隣のグループに負けるなど・・。」

 「精鋭部隊?ウチで一番弱いメンツだったような・・・。」

 「しらばっくれるな。あいつらがおめおめ帰って来た後の話しだ。」

 「それは私は知りませんね。何せ、私に怨みを抱く三匹の猫にリンチされていたので。手の出し様が無いというか・・・・。てか、あなたが黒幕だって、今、はじめて知りましたし。」

 「嘘?」

 「いや、本当に。のし上がりたければ、私に地位があった時に言えばよかったのに。すぐに変わってさしあげたのに。」

 「何故だ?計画は完璧だったはずなのに。」

 「あなたは私より遙かに優秀ですし、他人を動かす魅力も能力も私より遙かにあります。ただ、あなたは組織を運用する能力が足りなかっただけですよ。ただ、それだけです。」

 「そんなハズはない。あんたの下で組織を動かす実績を積んできた。」

 「あなたは華やかなモノや、格好いいモノしか知らないんですよ。組織運用は、現場で泥水をすすり、辛酸をなめてもがき苦しむ、かっこわるいモノの方が遙かに大事なんです。」

 「ジロー。難しい話しはいいよー。それより、勝負。勝負。」

 「相変わらずの戦闘民族ですね。」

 黒猫は元部下を見る。

 「さあ、いらっしゃい。」

 元部下は黒猫に飛びかかる。黒猫は横に飛びかわす。

 「ジロー?この猫、強いね。」

 そう言っている間にも元部下の攻撃が続く。

 「ええ。多分、私より強いかと。」

 「ジローの『ジローより強い』はあてにならないからなぁあ。」

 黒猫は1m程高く、後方にジャンプしたかと思うと、前に飛び込み二・三発相手の腹に前足をうちこみ、そのまま頭突きをかます。

 元部下はその場に倒れ込むが、すぐに起き上がる。

 「おおやるねぇえ。」

 「何故だ。クロの実力はしれているハズ。それに体を動かしているのは女。負けるはずが無いのに。」

 「だから、やめとく事をすすめたのに。私ならこの格闘馬鹿少女と戦うなんて馬鹿なマネはしません。」

 「ジロー。女の子に馬鹿は失礼だよ。」

 「褒め言葉として受け取って下さい。」

 黒猫は元部下に飛びかかる。



 ハッキリ言ってしまえば、勝負にならない状態だったが、本田は致命傷を避けているため、相手が中々負けを認めず、ダラダラと戦いが続いていく。



 「うるさいだぎゃ。あんさんがた、なに、人ん家の前で暴れとるね。」

 ボス猫が家から出て来た。

 「ああ。これはボス。こんばわです。私に今取り憑いている幽霊さんが、あなたに用事があるとかで、連れてきたんですけど。」

 そう言いながら、元部下の攻撃をかわす。

 「ごめんね。元部下さん。」

 そう言って、重い一撃を与える。元部下はうずくまり動かなくなる。

 黒猫はボス猫の方を見る。

 「ボス猫さん。お願いがあるんです。私、もう少しジローと一緒にいたいの。だから、それを認めて欲しいんです。」

 「そないな事をいちいち言いにきたんね?」

 「そうです。ジローと私にとっては大事な事です。」

 「今はそぎゃーな事にいちいち構っている場合じゃねぇえでよ。勝手にすりゃええ。」

 「だって、ジロー。良かったね。」

 「そんかわり、クロ。この内乱をおさめるだーよ。」

 「私ですか?無理ですよ。」

 「おみゃあさんの無理は、わしゃしんじん事にしてる。」

 「ボス、無茶言わないで下さいよ。それに、私では誰も言う事をきかないですよ?」

 「クロ。、まかしたでーよ。わしゃ、内乱がおさまるまで引き籠もるで。」

 そう言って、ボス猫は家へと戻っていった。

 「勝手な。」

 「良かったじゃない。私も消え無いですみそうだし。」

 「そのかわり、アホみたいに仕事が増えましたけどね。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ