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ケガを治すテラミル

 美由は下から、昔の特撮モノの超合金ロボを持って来て、床に置いた。

 「おお。」

 幽霊と黒猫はそのロボを見て驚く。

 「何を驚いているんですか?」

 「見て見てジロー。30年ぐらい前の特撮のロボットだよ。」

 「中々通ですね。魔法少女様。」

 「私、この特撮好きだった。」

 「私もです。」

 黒猫と幽霊は仲良く30年ぐらい前の特撮の話をしていた。

 「あなたたち何歳ですか?」

 「生きてれば、美由ちゃんと同い年?」

 「そうなんですか?」

 「多分。」

 「それより、魔法少女になりますので幽霊さんはこれに取り憑いて下さい。」

 「ジロー。私、超合金ロボになるよー。見てて。」

 そう言って、セーラー服の少女は超合金ロボに取り憑く。

 「うーん うーん。」

 幽霊のうなり声が響く。

 「何やってるんですか?」

 「動かないかなと思って。」

 「退魔師の人が、ぬいぐるみでやってましたけど、私には出来ないですね。まあ、一時的なものなので、動かなくても問題は無いかと」

 「動きたいなぁあ。」

 「無理です。」


 美由はテラミルに変身して、傷だらけの黒猫の傷を治し始めた。

 「へぇえ。美由ちゃん凄い。回復の呪文が使えるんだ。」

 「回復の呪文って程、強力ではないんですよ。傷を塞ぐぐらいしか。」

 「それでも、凄い。ついでにジローの古傷も治してよ。」

 「それは、無理です。」

 「ええ?何で?」

 「良くは分かりませんが、深い傷だと痕が残るんです。」

 「まあ、無茶を言っちゃいけません。」

 黒猫は超合金ロボにそう語りかける。

 「せっかく、私がつけた傷だけでも治して貰おうと思ったのに。」

 「あなたがつけた傷、限定ですか?」

 「そう。」



 「処で、どうして、こんな大けがをしたんですか?」

 テラミルは治療している猫に語りかける。

 「もう一人の魔法少女さんの家の辺りを仕切っている猫たちのボスと戦ってきたんですよ。」

 「あの、子分二人を引き連れていたあの猫ですか?」

 「そうです。」

 「それで、こんなケガを。」

 「それだけじゃないんですけど。」

 「それだけじゃない?」

 「はい。ボスと戦って、負けて逃げ帰って来たんですが、こっちに帰ってきたら、こっちの縄張りの猫たちに襲われまして、ここに逃げ込んできたわけです。」

 「と、言う事は、ここに襲撃があるかもしれないって事ですか?」

 「かもしれません・・・。」

 「無責任な・・・。」

 「きっと、大丈夫ですよ。多分。」

 「多分って・・。」

 「魔法少女様の家は流石に襲わないと思いますよ。」

 「何故、そんな事が言えるんでしょ?」

 「ここを襲えば確実に退魔師が出張ってくると分かっているからです。」

 「でも、退魔師がいるのが分かっているのに、こんな争いを起こしたわけでしょ?」

 「そうですね。だから、多分と。」

 「安心できない・・。」

 「まあ、大丈夫だとは思うんですけどねぇえ。」

 「ジローなんで?」

 「今回の件はどうやら前々から準備されてたみたいなんですよ。」

 「??私が来て、ジローが左遷されたのが、原因じゃなかったけ?」

 「それはトリガーにしか過ぎないんですよ。」

 「トリガー?」

 「ええ。前々から、内乱を起こし、支配地域を拡大する計画があったんですよ。」

 「ジローはそれに気付いて無かったの?」

 「恥ずかしい事に全く。」

 「あらら。だったら、何でジローが左遷されたぐらいで、すぐに内乱が起こったの?」

 「他のタイミングが無かったからだと思いますよ。」

 「タイミング?」

 「ええ。、私がいなくなったために、連合体をつなぐ糸が切れたわけで、で、野心を抱いていたグループが動くには好都合な状況が出来たんですよ。」

 「好都合なの?」

 「ええ。小さなグループ一つ一つを各個撃破して、屈服させ徐々に勢力を拡大させ、のし上がるにはですが。他のグループは準備をして無いわけですし、味方が襲ってくるとも思ってないので、簡単に屈服させられると考えてもおかしくありません。」

 「ほうほう、野心を抱いているグループは中々の策士なわけだね。」

 「策士なんですかね?私なら、こんな分の悪い賭けはしませんけど。」

 「男にはやらねばならない時があるんだよ。きっと。」

 「その策士さんも、そういう誘惑にかられたんでしょうねきっと。私が前の地位に戻れば出来なくなりますし。その前に動かねばと思ったのでしょう。それに、退魔師達も今は我々を狙っているわけでないので。動けば介入してくるリスクが高くなるけど、上手くやれば・・。みたいな。」

 「で、何でジローは襲われたの?」

 「さあ。これだけ状況が動くと、私が前の地位に戻ったとしても、驚異にならないんですけどねぇえ。私が彼等を潰しにかかっても大した成果はあげられないと思いますし。」

 「あのー。私のウチが襲われないという根拠が全く出てないような・・・。」

 テラミルがそう言った。

 「私なりに根拠を語ったつもりなんですけど。まあ、そんな事より、ひとつ今回の事件で良い事がありますよ?」

 「どんな事でしょう?」

 「彼女を消しても意味が無くなったので、私もあなたも、彼女を消さなくてすむという事です。」

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