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 黒猫は公園を去っていた。

 「大丈夫何ですか?」

 朋は頭の上に乗っている蛙主に聞く。

 「さあのう。人に意見を聞いて、その通りにするヤツなど、ワシは見た事が無いからのう。」

 「そうですか。」

 「魔法少女その2よ。」

 「何ですか?」

 「行ってはならんぞ。」

 「わあ。そんな事、考えもしなかったのです。」

 「なら良いが。」

 「でも、ケンカを止めさせるために、説得しにいかないと。このままじゃ、猫さん達が傷ついてしまいます。」

 「お主は人の話を聞いて無かったのか?」

 「あうー。でも、私で出来る事があれば、何かしてあげたいのです。」

 「お主が猫たちに対して出来る事など何も無いというか、行ったら、逆に問題を大きくするだけじゃ。」

 「そうかもしれませんけど・・。」

 「行っても、バカ女と思われるだけじゃよ。現実を無視して理想論をまくし立てるなど、アフォがする事じゃ。」

 「バカとは思われたく無いのです。でも・・・。」

 「理想だけでは、現実に存在している問題を解決は出来ん。問題があるのなら、ひとつひとつ問題を潰して行けば、大抵は無難でバランスのとれた位置に落ち着くもんじゃ。それにじゃ。理想というのは大抵の場合、無難に落ち着いたものより、酷い場合が多いから気をつけるんじゃな。」

 「理想が酷いって、どうしてですか?」

 「ワシが知る限り、人類の歴史の中で、理想を追って邁進した国家の国民は最初のウチは良いが、後々、酷い惨状になるからじゃよ。」

 「例外は無いんですか?」

 「例外と言っている時点で駄目じゃと思うがのう。極限られた成功例という事は、ほとんどの場合は、悲惨な事になるって事じゃからなぁあ。」

 「あうー。そうです。」

 「10個のうち一つ成功例があったとしよう。理想をまくし立ている人間なら『1割も』可能性があると主張するだろうが、9割の確立で周りの人間を不幸な目にあわす博打を打つって言う話なのじゃよ。ワシから言わせて貰えば無責任としか良い様が無い。」

 「だったら、理想を追いかけちゃ駄目って事ですか?」

 「そんな事は言っておらん。理想を追いかけるのは良いが、現実を見ろと言っておるんじゃよ。現実を無視した理想論は悲惨な結果しか招かん。」

 「でもでも、それでも猫さん達のケンカを止めたいのです。」

 「じゃから、さっきワシが猫に言っていた話なわけじゃよ。」

 「でも、戦うと言っていたのです。」

 「欲望にまみれて、現実が見えてない相手には何を言っても無駄じゃからなあ。だから、戦いは避けられん。それだからこそ、次の戦いを起こさない手を打つって話になるんじゃよ。」

 「わかりました。」

 「もう少し、条件が良ければ、最初の戦いも避けられるじゃがのう。」

 「条件ですか?」

 「そうじゃ。上のモノに圧力をかけて貰うとか、身内を大量動員して説得攻勢をかけるとか、強い勢力に脅しをかけて貰うとか、結構色々あるが、ここを縄張りとしている猫たちには、その選択肢が使えないからのう。」

 「外交交渉役を立てて、相手を説得するのは駄目なんですか?」

 「それは、多分、やっておるじゃろ。あの猫の事じゃから。あやつは根回しが好きじゃからなぁあ。それでも、避けられない状況にあるとワシは思っているがの。」

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