ランニングの途中で出会った幽霊
桜間美由は学校に行く前にランニングをしていた。
夕方から雨という事なので、走れる時間が今しかないのだ。
学校があるので、近所をうろうろしていると、道路の上に広げられた新聞の上に座る傷だらけの黒猫を発見する。
進行方向であったので、近づくと美由は足を止め、一瞬、たじろいだ。
黒猫の上に、半透明の女子高生がいたからだ。
美由は鈍感ではあるが、前日に知識をつけられていたので、あの女子高生が幽霊だと判断した。
幽霊嫌いの美由としては気付かないふりをして、立ち去るという選択肢を選び、行動に移そうとした次の瞬間。
黒猫に呼び止められた。
「これは、魔法少女様。昨日ぶりです。」
向こうから、アプローチをかけられてしまったので、気付かないフリはもう出来ないと諦める事にするが、体が動かない。
「ジロー。この人が、あなたが私を消して欲しいと依頼した魔法少女なの?」
「そうです。まあ、二人ともちょっと待って下さいね。」
そういって、黒猫は新聞をたたみ、ポストへと戻した。
「へぇえ。この人が魔法少女。」
セーラー服の少女はマジマジと美由を見る。
「あのー。黒猫さん。この方はもしかしないでも、幽霊ですよね?」
美由はおそるおそる聞く。
「ええ。そうです。魔法少女様。」
「そのー。あのー。ですね。黒猫さん。私の目には、あなたが、その美少女女学生に取り憑かれている様に見えるのですが・・・。」
「まぁあ。魔法少女さん、お上手ね。ジロー。美少女女学生って言われたよ。」
『ジロー?確か、黒猫さんはクロと呼ばれてた様な・・・。』
「はいはい。良かったですね。」
「もう、ジローったら、素直じゃないんだから。」
美由の目には二人は仲良しに見えた。
「あのー。もしかして、昨日言ってた、私に倒して欲しいっていう幽霊って、その女の子ですか?」
「はい。そうです。」
「よろしくね。」
「よろしくって・・・。どういった意味で・・・。」
「それはもちろん、私を消すという意味で。ジローが選んだ人でしょ?なら、私は問題ないよ。」
「いえいえ。こんな素敵そうな方を消すなんて私にはとても。」
「むふふ。聞いたジロー素敵な方だって。」
「いちいち反応しないでください。」
「だって、嬉しいじゃん。それは置いて、魔法少女さん。今の私はジローを呪っている悪い霊なのよー。他にどんな悪さをするか分かったもんじゃないわよー。消すなら今。」
「え、えんりょしておきます・・・。」
「ウブだなぁあ。この魔法少女さん。見た目はしっかりしたお姉様って感じなのに。」
「すいません。できる限り、霊と関わりたく無いというか・・・。」