幽霊と黒猫2
「あなたは、私の呪いですか?」
黒猫は薄目で細身の女子高生の幽霊を見ながらそう言った。
「もう、ジロー。2年ぶりなのに、その言い方は無いんじゃない?」
セーラー服の娘は腰に手首を当て上半身を倒し、わざとらしく怒ったそぶりを見せる。
「でも、私があなたの呪いっていうなら、そうかもね。」
幽霊は笑顔で述べた。
「分かっているんでしたら、私の前に現れないで下さい。それと、その名前で私を呼ばないでください。」
「だぁあめ!ジロー?私が何のために二年も一生懸命探がしたと思っているの?」
「だから、その名前で私を呼ばないで下さい。それと、ご苦労な事とだとは思いますが、あなたの願いなど知りません。」
「忘れたなら何度でも言うけど、私と一緒に居るか、それが嫌なら私を消すか。どっちか選んでよ。」
「何で私にそれを選ばせるんですか?」
「私は幽霊で、どちらにせよ消えないといけないわけじゃない?でも、消える時に、孤独っていうのも嫌だし。だからジローに消されるんならいいかなと。」
「別に私じゃなくても良いじゃないですか?」
「私も他の人でも良いかなと思って、色々な人と向き合ったけど、やっぱり消されるジローが一番だなって。でも、ジローとだったら一緒いてもいいかなとも思えるし。だから選んで。」
「ずっとは探していないじゃないですか・・・。それに、私にはどちら選べません、他をあたって下さい。」
「あのデブ猫さんが言ってたよ。私を消さないと元の地位に戻さないって。」
「私は前の地位に何の未練もないので問題ありません。と言うより、私にとってはむしろ好都合なので。」
「どちらにしろ、あのデブ猫さん私の事嫌いみたいだから、ここに居ると私は消されちゃうだけどなぁあ。猫にリンチされて切り刻まれて死にたくは無いし。」
「どっか行けばいいじゃないですか?この街の外に行けば、手は及びませんよ。」
「私はジローが良いの。」
「変わりませんね。その頑固さ。まるでおっさんみたいです。」
「どうせ私の性格はおっさんですよ。」
「あなたの性格が女であれば良かったのに。そしたら目の前に条件が合う男が現れさえすれば、その男が何とかしてくれたでしょうに。」
「私は瞬間的な愛より繋がりのある情を選びたいタイプなの。」
「それより、寝かして下さい。どちらにせよ今は体を動かせないので。あなたの事は起きてから考えます。」
「いいよ。その代わり、あなたに取り憑かせてね?」
「何でそうなるんですか?」
「だって、浮遊霊の状態って安定しないんだもん。あなたも知っているでしょ?依り代が無いと駄目だって。」
「そんだけ、現実に行使出来る方が何を言っているんですか・・・。まあ、良いです。勝手にして下さい。」