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段ボールの中の猫たち

 桐野が抱いている茶トラのメス猫は、少しもがいて、また、段ボールの中に戻る。

 「もう。」

 桐野は両腰に手首を置き、怒ったふりをする。

 二匹はいつの間にか鳴くのを止めており、三匹は折り重なるようにのんびりと横になっていた。

 美由はこの化け猫たちの武闘派面しか知らないので、普通の猫の様に平和そうにしている姿を見てほほえましく思った。

 「本当にこの猫たちと仲良しなのね。」

 桐野はそう言った。

 『仲良しではなく、親分と子分の関係なんだけどなぁあ。』

 美由はそう思った。

 『この猫たちが集まって、私の下校ルートでこんな事しているのは、何か私に用事があるのだろうか?でも、この平和そうな感じは緊急性を感じないし、猫の本能としてやってる事なんだろうか?』

 美由はあれこれ思案したが、今は桐野がいるので、彼等の思惑を探る事は出来ない。


 三匹は仲よさそうに体を密着させていたかと思うと、三毛のボス猫が桐野の茶トラ猫の顔に前足を優しく押し当てた。

 茶トラ猫は仕返しする様に、ボス猫の顔に前足を押し当てる。すると、ボス猫が今度は猫パンチをかえした。茶トラ猫は段ボール箱から飛び出し、どこかへ走り出す。

 それを追いかける様に、ボス猫も茶トラ猫を追いかけてどこかへ行ってしまう。

 「こら、待ちなさい。」

 桐野は一瞬追いかけようとしたが、あまりの逃げ足の速さに追うのを止めた。

 「桜間さん、行きましょうか。」

 「そうですね。」

 美由は後ろ髪を引かれる思いだったが、黒猫に話を聞くわけにもいかないので、そのまま帰る事にした。





 美由の自宅の前で桐野と別れ、玄関に向かおうとした時、先ほどの3匹の猫が美由の前に現れ、整列する。

 「あの、何か用ですか?」

 「そりゃ、おみゃあさんに、よーがあるに、決まってるぎゃあねぇ。」

 ボス猫がそう言った。

 「はぁあ・・・。私はてっきり、猫の本能で段ボールの中に入り、戯れていたところに、偶然出くわしただけと思ってたんですけど。」

 「ああして、おみゃあさんを待ってたんだがね。」

 「何で段ボールの中で待ってたんですか?ここで待っていれば良かったのに。」

 「理由は特にありゃせんけど、普通に待ってるのが退屈だったんよ。」

 「はぁあ・・・。所で用って何ですか?」

 「クロ。説明せぇえ。」

 「はい。」

 傷だらけの黒猫は返事をした。

 「魔法少女様、簡潔に言います。幽霊退治に付き合って欲しいのですが?」

 「はあい?」

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