段ボールに入った猫たち
桐野と美由は教室でピアノの練習をはじめて30分ほど経過していた。
「雨もすっかり止んだわね。」
桐野は机の上にお尻を乗せ、外を見てそう言った。
美由は手を止める。
「はい、手を止めない。」
慌てて、ピアノを弾きはじめる。
「そ、そう、ですね。」
桐野は手を叩くのやめている。
「そういえば。桜間さんって何カップ?」
「は、はい?」
「また、手が止まってるわよ。」
「桐野さんが突然エロネタを放り込むから。」
「言い訳しない。」
美由はピアノを弾き始める。
「で?何カップ?」
「少し前まで私自身はCだと思ってたんですけど、たまたま見たTV番組で正しいブラの付け方という特集を観てたら、どうもDカップみたいです。」
「へぇえ。桜間さんって、寄せてあげているのね?」
「いいえ、今はすっかりスポーツブラです。」
「ちなみに私はBカップよ。」
「そんなの告白しないでください。」
「私は桜間さんぐらいのサイズが良かったなぁあ。この服の上で二つの膨らみが控えめに分かる程度って、何か残念で。」
「私は、桐野さんぐらいのサイズが良いです。派閥の長の方々と比べれば、そんなに大きいわけでもないですけど、私的にはこのサイズでも、もて余すというか。桐野さんのかわいらしい女子高生って感じのサイズが良いです。」
「あ、手が止まってる。じゃあ、須王寺さんの妹や、ちびっ子の様な胸はどうなの?」
「え、ええと、今の私のと比べるなら、あっちの方がいいけど、でも、本人達には悪いですけど、全く無いのも嫌ですね。」
「須王寺さんも酷よね。姉はギリギリ巨乳の部類に入るぐらい胸があるのに、妹はまな板って。」
この後、教師に見つかり、とっとと下校する様に促され、二人は帰る事にした。
バスに乗り、下車し、自分の家向かい歩いていると、電柱の横に段ボール箱が置かれていた。
そのダンボルー箱の中には3匹の大人の猫が入っており、餌をねだる様に『にゃあにゃあ』鳴いていた。
良く見ると、その三匹は、ここら辺のボスの太っちょメスの三毛猫に、傷だらけの黒猫に、桐野がかわいがっている茶トラ猫であった。
美由はその光景を見て絶句する。
「もう。ここで何してるの。」
桐野はそう言いながら、慌てて、茶トラ猫を段ボールから拾い上げ、腕に乗せる。
他の二匹は『にゃあにゃあ』鳴き続けていた。
「あなた、この二匹と仲良しなの?」
桐野に抱かれている猫は何も答えず、幸せそうな顔をしていた。