明日の約束。
朋と蛙主は、夢の世界からまた、自分の家に戻ってくる。
「もう少し居たかったのです。」
小さな女の子は、子供がふてくされている様にそう言った。
「仕方有るまい。ワシがあまりやる気が無いのじゃから。」
頭の上に居る蛙は、そこで、あぐらをかきながらそう言った。
「せっかく、あんなに出来たのに。」
朋は蛙主の脇腹をつかみ、自分の顔の位置まで持ってくる。
「私、何をするにも要領が悪くて、全然成長が無いのに、あんな分かりやすく成長出来たのです。もっと感動を味わいたかったのに。」
「ワガママを言うな。」
蛙は困った顔をしながらそう言った。
「第一、1時間ほど寝るだけで、あんなに伸びるのはおかしいぞい。きっと頭にかなりの負担がかかっているハズじゃ。」
「でも、全然、疲れてませんよ?」
「今は、ハイになっているから気付かないだけで、少し時間が過ぎれば、ものすごい疲労が襲ってくるとおもいぞい。」
「むー。」
「それに、ああいう伸び方は危険じゃ。」
「どうしてですか?」
「ワシにも経験があるんじゃが、ああいう伸び方には必ず落とし穴がある。」
「どんな?」
「次やった時、まるで出来んようになり、そのままずっと、スランプに陥るとか。体が無理をしている事に気づかず、体をこわして、何日も何も出来なくなったり。」
「あうー。」
「多分、もの凄い、偶然が重なってたまたま出来ただけじゃ。こういった成功体験を経験すると、次、出来て当たり前と思いこむものじゃが、出来なかった時の反動はでかいから、運が良かっただけと割切る事じゃな。」
「じゃあ、運かどうか試すために、もう一回お願いなのです。」
「お主は人の話を聞いておらんのか?今はハイになっているから気付かないだけで、体の負担は相当なもんじゃ。だから、今日は駄目じゃ。」
「じゃあ、明日お願いするのです。」
「何故、ワシがわざわざ。」
「お願いするのです。」
そう言って、朋は蛙主を揺さぶる。
「ああ、わかったわい。揺さぶるな。」
「ありがとうなのです。」