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本当の夢の中

 朋は自分の家の中で蛙主を抱きながら、眠りについた。

 小さな少女のまぶたに高速で幾つも分裂した自分や、蛙主の姿が浮かび上がる。

 そして、その映像に引きずられる様に奥へと落ちていく感覚に襲われた。





 朋が気が付いた時、自分は子宮の中にいる退治の様な姿で暗闇の空間で寝ている自分を感じた。

 『起きなくては』と、思うが、体が重くて起きる事が出来ない。

 体が重たくて寝たていたいという感覚と、頭のどこかからか発せられる『起きなくては』と思う強迫観念の様なものが入り交じり、まぶたを閉じていても、自分は睡眠をとっていないんだと思う感覚に襲われている。

 しかたなく、朋はまぶたを開ける。思った通り、周りは真っ暗だ。

 起きろと、体に命令をかけるが、体が全く動かない。

 動かないのは、何か伝達方法が悪いんだろうと思い、さっきより強く、別の回路も使って起き上がれと体に命令する。

 朋は床についている方の手を使い、上半身を起こした。

 でも、下半身が、床に沈み込んでいる感覚があった。

 下半身は起きていない。

 今度は沈み込んでいる下半身を引きずり起こそうと、強い命令をかけるが、足の指が踏ん張る場所がなく、空しく両足は空を切った。

 朋は両手に力をかけ、両足を引っ張り出そうとする。

 両足が何かにひかかり、足の裏に充分に力が欠けられる様になったので、立ち上がろうとするが、ヒザに力が入らず、そのままこけてしまう。

 朋は、それでも立ち上がろうとして、両手両足を同時に使い、何とか立ち上がろうとした。





 その頃、蛙主は、朋のスリーパーホールドで苦しめられていた。

 「魔法少女その2よ。し、死ぬ。」

 朋はその状態で転がり、蛙主が下朋が上になり、足を跳ね上げ、全ての体重を蛙主に押しつけようとする。

 「お主寝ぼけておるのか、起きてくれ。」




 朋の本当の夢の世界で、朋は起き上がろうともがく。

 でも、体の部分部分がちらつき、ちらついた瞬間は、自分の体が存在してない感覚に襲われる。

 自分の体が存在してない部分があるなら、強引に全て存在させれば良いんだと思い、自分の体をハッキリとイメージする様に意識する。

 すると、自分の体全体に感覚が通った気がした。

 朋は立ち上がり、真っ黒な空間を駆け出し始めるが、二・三歩走ると、落とし穴に落ちた様な感覚に襲われ、下半身を感じる事が出来ない。

 頭のどこかから、地面をちゃんとイメージ出来てないという考えが浮かび上がる。

 地面をイメージすると、今は見えてない、下半身の足下に堅い地面があるという感覚を感じる。

 落とし穴から抜け出だすイメージで体を動かすと、簡単に落とし穴から抜け出せ、自分はしっかりと大地にたっているという感覚を味わえた。

 朋はこの時、初めて、これは夢の中だと認識する。蛙主が連れていった擬似的な夢の中とは違う、本当の夢の中の世界。

 その夢の中で、自分は自分の意思で地面の上に立つ事が出来た事を悟る。

 このまま、自分の意思を持ってちゃんイメージで世界を築ければ、自分は成長できる。これからと思った瞬間、朋は目覚めた。

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