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請負業者

 「長話をしておったら、雨が止んだみたいだのう。」

 蛙主がそう言う。

 (とも)は後ろを振り返り、外を見る。

 確かに雨は止んでいる様だった。

 「蛙さん。お散歩いきませんか?」

 「お、ええのう。」

 「傘だけとってきます。ここで待ってて下さい。」

 そう言って、(とも)は団地の階段を駆け上がった。





 別荘の改築工事の下見のために、荒れた屋敷の前にいた月見達は雨が止んだので、車を降りた。

 「それにしても、建設と造園の人達遅いわね。あの人達が来ない事にははじまらないんだけど。」

 「遅うございますね・・・・。」

 真田がそういう。

 「ねえ、真田。」

 「何でございましょう?月見様。」

 「正直、このシーンいらなくない?」

 「何をおっしゃいます。作者が我々雇われ組と請負業者との関係を良く考えずにこの話を始めたため、請負業者と我々とで工事の段取りを話し合うシーンを入れないと、どうしても問題があるので、全くつまらないシーンでも、必要なのでございます。雨を止ましたのも、このシーンが必要だったからで。」

 「請け負った業者が、先日やっと改築許可をとり、彼等の監督の下で私達が働くという形にしないと話のつじつまがあわなくなるものね。この作者。この手のミスが多いわよね。9話のホームセンターのシーンがあんなにダラダラになったのも、この手のミスのせいで、問題を解決せざるを得なかったからだし。」

 「あ、いらしたみたいです。」

 そう、真田が言った。

 銀色の車が二台やって来て止まり、中から数人の作業服姿の男達が降りてくる。

 「申し訳ありません。月見さま。遅くなりまして。」

 「いいえ、気になさらなくて良くてよ。それより、明日からの段取りを早く決めて帰りましょう?雨がまた降り出したらたまらないですし。」







 「蛙さーん。おまたせしたのです。」

 (とも)は傘を握りしめて、階段を駆け下りてくる。

 「さあ。いきましょう。私の頭に乗ってください。」

 「ぬいぐるみみたいに抱いていってくれないのかの?」

 「私、傘を握っているので、抱きしめると危ないのです。」 

 「仕方ないのう。せっかく胸の感触が楽しめると思ったのに。」

 「ぶー。蛙さんエッチなのです。」

 「まあ、魔法少女その2の頭の乗り心地は良いからからかまわん。」

 そう言って、蛙主は(とも)の頭の上に飛び乗った。

 「さて、行くぞい。」

 「はーい。」

 (とも)は元気に返事をして、団地の外へと歩き出した。






 美由と桐野は学校へと辿り着き、自分達の教室に向かって廊下を歩いていた。

 すると、先日すれ違ったイケメン男である近藤が向こうからやってきた。相変わらず、廊下の真ん中を歩いている。

 美由と桐野は廊下の隅により、近藤をやり過ごそうとする。

 「やあ、君たちおはよう。」

 近藤は二人に明るく声をかけた。

 二人は視線を落として、目を合わさない様にしていたが、声をかけられたので、彼の方を見る。

 「おはようございます。」

 二人は頭を下げた。美由はあまり挨拶をしなれてないので、どことなく不器用に、桐野はツンとした動きだった。

 「君たちの名前は桐野舞奈さんと桜間美由さんだね。僕は今度の月曜日から一週間この学校に来る事になった(セイント)エルナール学院の教師、近藤日向だ。よろしく。」

 「よ、よろしく。お願いします。」

 「申し訳ありませんが、近藤先生。何故、私達の名を。」

 「君たち、あの須王寺麗菜の友達だろ?昨日、職員室の前で君たちが小さな女の子と抱き合ってたのを一緒にみかけてね。その時、教えて貰ったのさ。」

 実際は嘘である。生徒名簿をあっさり自力で調べたのであった。

 「それより、君たち僕のメイドにならない?」

 「はい?」

 「まあ、今は冗談として受け取っておいて。」

 「そうですか。私達は授業がありますので、これで。」

 桐野は美由の腕をつかみ、歩き出す。

 「連れないなぁあ。君たちとは仲良くやっていきたいんだけど。」

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