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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
2話 猫たち
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猫の縄張り(2話終わり)

 「お初にお目にかかります。ウサギ主・蛙主・魔法少女。」

 3匹の真ん中にいるボス格の猫が挨拶をする。

 「お前さん。あの傷だらけの黒猫のボスか?」

 「ああ、あいつは、別の縄張りの猫ですよ。ここいらを仕切っているのは我々です。まあ、そいつが、先ほど内密にそこの猫について目をつぶって欲しいと頼まれたのですが、我々が聞いてやる義理はありません。」

 「ようするに、こいつを引き渡し、お前達に処分させろと。」

 蛙主がいう。

 「まあ、平たく言えばそうですが、我々のお願いを聞いていただければ、別です。」

 「なんじゃ?」

 「ここで、暴走を治める治療をしてもらいたい。」

 「?何故じゃ。」

 「暴走を治める手があるんなら、我々も知っておきたいんですよ。今後のために。化け猫は幾らでもいるわけじゃないので」

 「やり方がわかったからとて、おぬしらでは難しいと思うがなぁ」

 「あのぉお。本当にここでやるんですか?人が見てますけど。」

 「ここで、お願いします。どうせ、人には我々は見えないのですから。」

 「やってあげてください。」

 後ろから声が聞こえてきた。皆、声の方を向くと、傷だらけの黒猫がそこにいた。

 「彼らにも面子というのがあります。縄張りを荒らされたわけですから。彼らの顔を立てるためにも。」

 「人間については、後ろの二匹が何とかします。」

 と、ボス猫がいうと、二匹は存在を強め、駆け出し喧嘩をはじめた。

 ウサギ主は猫をトイレの隅まで運び下ろす。

 「ほら魔法少女、二人でやるぞ。はよ、来い」

 そう蛙主は言って、猫の頭を触る。蛙主は魔法を唱えると、手が緑色に光る。すると、縄に縛られもがいていた猫が徐々に瞼を閉じ、完全に眠ってしまう。

 「これは何をしてるので?」

 ボス猫が蛙主に質問する。

 「眠らしただけじゃ。暴走は体のコントロールが利かなくなって、自分の体を太らせるために生き物を襲うじゃろ。要するに意識が飛んでしまって、ただ、食うことしか考えられなくなっているのじゃ。じゃから、意識が戻れば問題は無いというじゃ。」

 「一旦、眠らせれば、意識が戻るという事ですか?」

 傷だらけの黒猫が今度は質問する。

 「それで、回復するやつもいるが、大抵の場合、そうではない。暴走は大抵の場合、力が暴走して、意識を失い、体のコントロールが利かなくなり、意識を無くすわけじゃから、要は体の外から力をコントロールして、暴走を抑え込めばいいわけじゃ。」

 「なるほど、で?どうするんですか?」

 「魔法少女よ。こいつの力を抑えこんでくれ。」

 テラミルは猫の手を握り、力を押さえ込む魔法を唱える。

 「駄目です。力が強すぎて私では無理そうです。」

 「しかたないのう。精神吸収を使って、少し力を抜こう。」

 「暴走中に精神吸収をして大丈夫なんですか?」

 「大丈夫ではないが、これをやらんと力が抑え込めんのでな。まあ、コツがあるからそこまで害は無いじゃろ。」

 テラミルと蛙主はゆっくりと、相手の力を吸収していく。

 そうこうしていると、パトカーがやってきて、警官二人が下りてきた。そして、公園を捜索する。

 喧嘩している二匹の猫が、警官をこっちへ近づけない様に立ち振る舞うが、いかんせん五月蝿かった。

 警察が回転灯を切らずにパトカーを降りた為に、他の近所住民も公園に集まってきた。

 蛙主とボス猫と傷だらけの猫は、治療の話をしつつ何やら、別の話を始める始末。

 ウサギ主はウサギ主で、あまりに暇なので公園の遊具を使って筋トレを始める始末。

 『こっちは精神を集中してるんだから、みんな静かにして欲しい。』

 テラミルの心の声とは逆に、猫の喧嘩のボルテージはますます上がっていく。

 彼女があたりを見回すと、朋がゴミ袋を抱いて帰って来ていたが、警官二人が公園を捜索しているうえに激しく喧嘩している猫二匹に筋トレしている大きなウサギという、なかなかシュールな状態なので、他人のふりをされた。

 仕方ないとはいえ正直、心が傷ついた。

 「こら、魔法少女よ。集中せんか!」

 「はい」

 力により巨大化した猫は、力を吸収され普通サイズの猫に戻っていた。猫を縛っている縄はサイズの変化に合わせて、縮小していく。

 「ほれ、起こすぞ。はよ、力を抑え込む魔法を使わんかい。」

 テラミルは力を抑え込む魔法を再度使った。

 「今度は、大丈夫そうです。」

 「後は、こいつを目覚めさせて、意識を取り戻してくれればいいじゃが」

 蛙主は、目覚めの魔法を唱える。猫は目を覚ましたが、暴れ始めた。

 「駄目じゃの。こりゃ、時間がかかりそうじゃ。」

 テラミルは夜空を見上げた。

 『私は、今日、家に帰れるのだろうか?』

 「こら、よそ見するな魔法少女よ。」

 「はあい。」

 テラミルはやけくその返事をした。


 1話終わり。

某有名小説に猫をエナジードレインで治めるというのがあり、精神吸収によって暴走を止める当初の設定では、問題が有ると判断したため、力をコントロールして意識を回復させるという手に変更しました。


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