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月見の説教

 月見は6畳の部屋で二体の熊のぬいぐるみを壁に押し当て、怖い顔をしている。

 「殺す・・・。」

 彼女は絞り出す様に、そうつぶやいた。

 「もう、既に死んでるけどね。」

 赤いドレスを着て、綺麗な正座姿の神園が冷静にツッコんだ。

 「この二人、ロコス!」

 月見は高い声を張り上げる。

 「その某アニメの特定の巻のDVDにおまけとしてついているオーディオコメンタリーを聴いて無いと分からないネタを言っても、読者に通じないわよ。」

 「あんたらのせいで、私達、後輩がどれだけ肩身の狭い思いをしたか、わかってるの?21世紀にもなって、高等部のヤンキーとレディースブームなんて。」

 「おいおい、何か話がズレてるぞ・・。」

 「(セイント)エルナール学院の制服で街を歩いていると、白い目で見られたあの中学時代の屈辱を晴らせる日がくるなんて・・・。すぐには殺さないわよ。じっくり時間をかけて、いたぶってあげる。あんたたち、黙って無いで何か言いなさい。」

 「儀式場の外だから、しゃべるのも動くのも無理だぞ。」

 月見は熊二体を乱暴に結界内に叩きつける。

 熊二体は起き上がりって寄り添い、怯えた感じで月見を見る。

 「あんたら覚悟なさい。」

 「ひー。」

 「はいはい、いい加減にして。」

 神園は月見の巫女服の襟を掴んで制止する。

 「放して、こいつら殺して、私も死ぬ。」

 「もう既に死んでいるから、消滅させも罪にはならないけど。死ぬならあんた一人で死になさい。」

 「何で、私だけ止めないのよ。友達でしょ?」

 「おいおい。いつ、あんたと友達になる様な事をした。」

 「ええ。お友達でしょ?」

 「あんたねぇえ。」

 「あんたと呼ばずにつきちゃんと呼んでよー。」

 「嫌。」

 「そう言わずにねぇえねぇえ。」

 「ああ、うっとうしい。わかったから、つきちゃんでいいんだろう?」 


 


 「あのー。このぬいぐるみは、どうして動いているんですか?」

 美由が空気を読まずに質問する。

 「ああ。この結界内というか、儀式場を使って、物理的に干渉出来る力を与えられてるんだよ。」

 「力ってどこからですか?こういうので王道な地脈とか竜脈とかですか?」

 「うんにゃ。そこにある神饌から。」

 「このお米とか水とかお酒とかですか?」

 「そうよ。しばらくすれば、徐々に減ってくわよ。」

 「何か不思議です。」

 「まあ、動けるのも、会話出来るのもこの結界内だけだけどね。要はこの儀式場は発電装置と有線ケーブルみたいなものだから。ほら、結界の外に出た時、動かなくなったでしょ?」

 「内蔵とか出来ないんですか?」

 「出来ない事は無いけど、少なくとも私の手持ちの材料じゃ無理ね。それにあまり意味が無いし。」

 「じゃあ、結界の外に出る事は出来ないんですね。」

 「いいや。こいつらに神饌を与え続けて、霊的な力を付けさせれば、この家ぐらいは徘徊出来る様にできるわよ。ただ、せっかく身につけた霊的な力を消費する事になるけど。そして、使いすぎれば魂の消滅が待っているわね。」



 ぴんぽーん

 インターホーンが鳴る。

 「はい。」

 神園はすぐに反応して、玄関へと向かう。

 「誰かしら?」

 玄関口を開けると、そこには月見の部隊の人間達がいた。

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