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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
2話 猫たち
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朋と蛙が猫に襲われる。

 朋はゴミ袋を買うためウチを出る。団地の階段を下り、駐車場を抜けて、コンビニへと向かう。

 ショートカットのため、子供が数人で野球するには十分なスペースのある公園を抜け、10m程道を歩くと、二車線の国道に出た。

 ここをまっすぐ15分程歩けば学校に行ける。

 朋は学校の方へと歩き始める。学校へ行くためではなく、こっちの方にコンビニがあるからだ。

 朋が歩道を歩いていると、30cmぐらいの物体がピョンピョン自分の方へと向かって飛んでくる。

 その物体は朋の顔にへばりつく。

 「むー。」

 何かぶよっとしたものが朋の口を塞いだために声が出ない。それは、バタバタと動き朋の頭へよじ登ろうとしている。

 「お、良くみたら、魔法少女その2ではないか。」

 「え?蛙主様ですか?」

 「ちょうどええ、今、追われとる。」

 「え?追われてるって、何ですか?」

 「目の前を見てみい。」

 目の前には大型犬ぐらいの大きさの茶虎の猫が早足で二人に迫って来ていた。

 蛙主は朋の頭を手ではたく。

 「何しとる、はよ、逃げんかい。」

 猫は、早足から一気に駆けだし、朋に向かい飛びかかり噛みついてくる。

 朋は素早く反応して、攻撃を交わし、公園の方へと走り出す。

 「なんですか、あれ?」

 朋は頭に蛙主を乗せて走ったまま、話はじめる。

 「昼にお前さんを襲った猫じゃ。」

 「ええ?だって、姿形が全然違うし、あんな凶暴じゃなかったですよ?」

 「暴走したんじゃ。」

 二人は公園の藪をつっきり、トイレの裏手に隠れる。

 「はぁあはぁあ、暴走ってなんですか?」

 朋は瞳を上にして話はじめる。

 「我を失って、見境無く生き物を襲う様になるんじゃ。」

 「じゃあ、ここは住宅地だから、放って置いたら大変な事になるじゃないですか?」

 「普通は猫どもが、すぐに消滅させにくるんじゃが、学校からここまで、その気配は無かったのう。」

 「え?学校からここまで、歩いて15分はかかりますよ。ずっと逃げてたんですか?」

 「そうじゃ。数人の人間とすれ違ったが、やつはそいつらには目もくれず、わしだけを追ってきてるのじゃ。」

 「ぶよぶよして、おいしそうですからね。」

 蛙主は上を向く、トイレの上に猫がいた。

 「魔法少女、上におるぞ。」

 朋はトイレの上から飛びかかってきた猫を前転して交わした後、公園の真ん中に向かって走り出す。

 「何とかならないんですか?」

 「誰かが奴の動きをしばらく止めて置けば可能じゃが、こんなに暴れていては無理じゃ。」

 「だったら、転ばせるとかする魔法は無いんですか?」

 「お、それは名案じゃのう。」

 蛙主は朋の頭の上で魔法を唱え発動する。

 すると、猫はコケた。でも、一瞬で起き上がり、二人に向かって走り出してくる。

 「効果はあまりないようじゃのう。」

 「ええぇえ。」

 「しかたない。このままでは二人ともお陀仏じゃ。お前さん。魔法少女になれ。」

 「でも、私がなっても力が暴走するだけで・・・。」

 「わしがお前さんの力を押さえ込み、コントロールしてみる。」

 「大丈夫なんですか?」

 「わからん。でも、選択肢はなさそうじゃぞ。」


 朋は蛙を頭の上に乗せた間抜けな姿だったが、魔法少女ガラミンに変身した。

 蛙主が踏ん張り、暴走を止めている。

 「むむ、こりゃ、凄い力だのう。押さえ込むだけでやっとじゃ。」

 「ど、どう、どうすればいいんですか?」

 「戦おうと思うな、かわせ。」

 「え?」

 猫はガラミンに飛びかかってくる。もう回避できない。すると、魔法少女の球体のシールドが発動する。

 そのシールドは猫と蛙主を一緒に弾き飛ばした。

 ガラミンは力の抑制を失う。突然、体が熱くなり、体が言う事をきかなくる。そして地面に倒れ込んだ。そこに猫が飛びかかってくる。蛙主は素早く転倒の魔法を使い、猫を転ばせると、ガラミンの頭の上にのり、力のコントロールをはじめる。

 「すいません。カエルさん。」

 猫は二人を中心として時計まわりに、ゆっくり移動しながら距離を詰めてくる。

 「いいか、魔法少女よ。良く聞け。猫は強いが、その分、全力で動ける時間は短い。すでに奴は長距離を移動し、長い時間戦って、随分疲れとる。もう少しすれば、肉体の限界がきて、奴の動きは鈍くなる。その時まで、がんばれ。」

 「はい、頑張ります。」

 猫はに飛び掛る。ガラミンは猫の攻撃を何手かかわしたが、戦闘経験が乏しいガラミンが上手くかわせるわけもなく、横から飛んできた前足の攻撃をくらう。

 一瞬、シールドが自動的に発動しそうになったが、蛙主の事が頭に浮かび、シールドを解除したため、まともに食らい、体ごと飛ばされ、地面を2m程滑る。

 ガラミンは起きあがろうと力をこめるが、体が言うこときかない。

 猫は動かないガラミンに飛びついてきた。

 『もうダメだ。』

 そう思った瞬間、猫とガラミンの間に巨大なものが落ちて来て、間を隔てた。

 「蛙主よ。お主、何をやっておる。」

 そのには、巨大な筋肉質の茶色の毛をしたウサギが立っていた。


 ウサギ主は、猫の首元と腕を握り動きを抑えていた。猫の瞬発力はウサギ主より強く、だんだん、押されはじめる。

 「魔法少女、はよせい。このままではもたんぞ。」

 テラミンは超加速を使い加速しジャンプし、猫の横腹にケリを入れた。猫は横へと飛ばされる。ウサギ主は倒れた猫の首を掴み、袈裟固めに入り押さえ込む。

 猫は押さえ込まれながらも、更に暴れ、押さえ込みが解けそうになるが、何とか踏ん張る。

 「蛙主、はよ、こいつを魔法で縛れ。長くは押さえてられんぞ。」

 ガラミンの頭にのったままの蛙主は「っは」とする。

 「嬢ちゃん。変身を解いとくれ、このままでは、あの猫を押さえこめん。」

 「は、はい。」

 ガラミンは変身を解き、朋に戻る。

 蛙主が魔法を唱えると、光輝くロープが空中に現れ、そのロープが自動的に猫をグルグル巻きにした。ウサギ主はロープに巻き込まれない様に体を放す。

 猫はロープから抜け出そうと、もがくが、ほとんど動くことが出来なかった。

 「ふう。」

 「カエルさん。こんな力があるなら、始めから使えばよかったのに。」

 「この技、そう、便利でも無いのじゃ。使うのに時間がかかるし、動いている相手には全く役にたたん。」

 朋は縛れた猫に近づき、頭を()でる。

 「ごめんね。」

 「それより、何で朋ちゃんが、ここに?」

 テラミルが朋に質問する。

 「私、ママにゴミ袋を買いに行くように言われて、そしたら、カエルさんが私に飛びついてきて、この猫さんに追われたんです。」

 「蛙主。何で、朋ちゃんを巻き込んだんですか?」

 「いや、わしも巻き込むつもりはなかったのじゃが、必死に逃げてたら、たまたま目の前に魔法少女その2がおってな。」

 その時、公園の近くの家の玄関が開く音がする。どうも、猫と格闘した時に出した大きな音を不審に思い外に出てきたらしい。

 「ああ、朋ちゃん。見えてる。存在を消して。」

 「あ、はい。」

 朋は姿を消した。下駄のかっかっかという音が聞こえて、人の姿が現れ、公園を見渡す。

 当然、彼らの姿は見えない。

 「朋ちゃん。まずいことになってきたから。ゴミ袋を買って、早くおうちに帰りなさい。人に見つかるとまずいし、この猫は大丈夫だから。」

 「はい、判りました。」

 そう言って、朋はコンビニの方へと去っていった。

 その後、すぐに別の家の人も外に出てきて、公園を見渡していた。

 「さて、幾ら我々が人間に見えないとはいえ、ここはまずそうだ。大きな音も立てたしな。」

 そう言いながら、ウサギ主は猫を担ぎあげる。

 「学校に戻ろう。」

 「それは困りますね。」

 どこからともなく、声が聞こえてきた。

 彼らの目の前に3匹の猫が現れた。

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