表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/270

ホームセンターにて

 「あのう?ひとまず、どうするんですか?」

 ひとまず、掃除を終わらせ帰りたい美由は、神園にそうたずねた。

 神園は一瞬、にらみつける様に美由を見るが、すぐに表情を戻す。

 「まず、こいつ等を追い返して、ほら、あんたの学校をちょっと先にいったら、ホームセンターがあるじゃない?あそこで、適当に神棚とか『かみしろ』になりそうなモノを購入して・・・・。」

 「ええぇえ。ホームセンター。私も行きたい。」

 ホームセンターの単語を聞いた月見が子供がダダをこねる様にそう言った。

 「やかましい。ホームセンターなんて、あんたの様なお嬢様が行く様なところじゃないわよ。」

 「行くの!行くの!」

 「ええい。やかましい。子供か?」

 「あのー。悪霊を神様にするんですよね?そういう道具をホームセンターで調達するって大丈夫なんですか?」

 「大丈夫、大丈夫。私はそういう事が専門だから。」

 月見は美由と神園のやりとりで、何か思いつき、自分が乗ってきた高級そうな黒塗りの車の方へ手招きをする。

 「そんなあり合わせのモノ大丈夫なんですか?」

  それに気づかず、美由は会話を続ける。

 「大丈夫だって、専門家の私が言っているじゃない。」

 車から運転手が降りる。

 「何か信じられないというか・・・。」

 美由は運転手が車のドアを閉じた音に気づき、そっちへ視線を移した。

 50歳は過ぎているであろう、半分、白髪が混じり、立派に手入れされた髭をもつ男性が三人の元へとやってくる。

 美由と神園の視線はその男性に釘付けになる。

 月見はニヤケ顔で、その男性を見ている。

 「どうなされました?月見お嬢様?」

 髭を蓄えたその男は月見に向かいそう言った。

 月見は男性の横へつき、彼の耳元に手をあてコソコソ話をする。

 美由と神園はその光景を見ていた。

 「わかりました。お嬢様。」

 「よろしい。」

 月見は威張った感じになる。

 「こちらのダンディーな男の方は、私の運転手であり、ボディーガードで、先生の真田さん。」

 「初めまして。」

 美由と神園は、真田の発するダンディーな感じに圧倒され、思わず会釈した。

 「体つきは、そうは見えないけど、真田さんは結構な力持ちなのよ。ホームセンターは男の世界、やっぱり殿方がいた方が何かと便利だと思うのよ。」

 「いや・・・。」

 神園はそんな重たいモノを買う予定は無かったので、すぐに否定しようとしたが、月見がその言葉を遮る。

 「それに、荷物を運ぶのであれば、車があった方が便利じゃないですか。」

 「いや。金持ちの高級車を傷つけた場合の金銭的負担の方が、遙かに金がかかるから、遠慮してお・・・。」

 「いえいえ。そんなの気にしませんわよ。ねぇえ真田。」

 「もちろんでございます。大事なお嬢様のお客様にそのような事など。」

 「あら、そう?」

 神園は美由を見る

 「で、どうする?」

 「わ、私に聞かないで下さい。」

 「じゃあ、決まりね。」






 「わぁあ。この一番上にある神棚にしましょう。」

 4人はホームセンターの神棚コーナーにいた。

 何故かは分からないが、このホームセンターには巨大な神棚コーナーが作られており、200種類ぐらいの神棚が陳列されていた。

 その中で明らかに、売る気は無いが客寄せのために置いている、50万円ほどする、横幅3.5メートルはあり、社が5つある神棚の事を月見は言っていた。

 「ここにある中で唯一のメイド イン ジャパンよ。しかも、素材はガジュマルよ!桑よ!」

 「ハイハイ。そんなのはいらないから。」

 一番高いものに瞳を輝かせる月見を神園は制止する。

 「だって、格好いいじゃない。」

 月見は食い下がる。

 「私もそう思います。」

 月見の発言に運転手の真田も同調した。

 「あんたらねぇえ。私が今の店でチーフ待遇でフルタイム働いて、月20万に届かないのに、それを買えるとリアルに思っているの?」

 「飲まず食わずならば、3ヶ月も我慢すれば。」

 「そんなの出来るか。と、言うわけで、こっちの1980円の社で」

 「こんなのヤだ。ヤだ。あの、一番上のがいいよー。だって格好いいもん。」

 「買えるかあんな高いの!」

 「神園様。あなた様が買おうとしている社は1つしかありません。でも、お嬢様がねだっているのは5つも社が・・・。」

 「ええい。私はアマテラスや、ここら辺の地域を管理している神を祀る気はないのよ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ