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校舎の端で

 外はシトシトと雨が降っていた。

 学校の校門が見える校舎の端で、いじけている朋がいた。

 美由に偶然、会えるかもしれないと心をおどらせて校門前まで来たが会えず、雨が降っているので追う事も出来ず、もしかしたら、ここで待っていれば美由が来るかもしれないと思い、雨宿りが出来る校舎の端でいじけていた、

 彼女は壁に両方の肩を壁にあずけ、うなだれている。

 『あうー。美由先輩に会えなかったのです。』

 朋は自分の足下にあるコンクリートの土台と、蓋がされた側溝を見ながら、そう思っていた。





 「桐野さんって、大人ですよね?」

 靴だなから自分のローファーの靴を落とした美由がそう言った。

 「私?私は子供よ。多分、桜間さんより遙かに子供だと思うわよ。」

 桐野は自分の靴をトントンとスノコに叩きつけ調整する。

 「でも、さっきの詐欺の話とかもそうですけど、言っている事とか凄く大人ですし。」

 桐野は足の動きを止め、自分の靴だなを見る。

 「違うわよ。私は、ただ、ワガママなだけなの。自分のワガママを()すための手段として、知識をひけらかしているだけ、なのよ。」

 「そんなぁあ。私からしてみれば、凄く大人というか・・。」

 「私は、ただの嫌味なガキよ。姿・形だけ強制的に大人された。知識だけはあるけど、それを嫌がらせにしか使えない。」

 「でも・・・。」

 「知ってる?」

 「何ですか?」

 「私が桜間さんに嫉妬しているって。」

 「いいえ。でも、私は桐野さんより身長が高いだけで、ずっと子供でただ必死にもがいているだけで・・・。桐野さんは私より成績良いし、大人の対応が出来るし・・・。」

 「そういう事じゃないのよ。私から見ればね、桜間さんの方が遙かに大人に見えるの。身長の事を除いて考えても。」

 「良く分かりません・・・。」

 美由は下を向いた。その事に気づいた桐野は美由の頭を撫でる。

 「ごめんね。」

 「いいえ・・。」

 二人は傘をさし、校門へと向かい歩いた。

 彼女達は無言で下を向き歩き始めた。

 そんな時だった、突然、美由にタックルしてくるものがあった。

 「あうー。美由せんぱい。会いたかったのです。」

 そこにいたのは朋だった。

 「私、大人にはなれないのです。」

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