謎のイケメン男登場
朋は授業が終わったので、美由を偶然する発見する演出をするため、急いで靴だなを目指していた。
『黒猫さんは、ああ言って言っていたけど、偶然だったらしかたないよね・・・。』
彼女はかなり作為的な偶然を演出するために必死であった。
そんな時、出会い頭に何か大きな壁にぶつかる。
朋は顔の激痛や、鼻血を覚悟したが、顔に痛みは無く、父親に優しく抱かれている様なそんな感覚を怯えた。
「大丈夫?お嬢ちゃん?」
朋は青年か成年かわからないぐらいの男性に、暴れている猫を捕まえられたかの様な格好で抱きかかえられていた。
彼女は相手の男性の顔を見る。
男性にしては女っぽく、女の人にしてはきつい印象を受ける、髭が薄い、美白の男性であった。
「あ、ありがとうございます。」
朋は男性に捕まえた猫を優しく置かれるように、廊下に置かれた。
「はいはい。気をつけなよ。」
「すいません。」
そう言って、朋は靴だなを目指し走っていく。
『あうー。子供扱いされたのです。』
走り去って行く朋の後ろ姿を見ていた男性はつぶやいた。
「カワイイ女の子だねぇえ。」
桐野と美由の前に、朋を猫の様に捕まえた男が現れる。
彼女等は、無意識のうちに体を引き、廊下の隅へと寄った。
別に彼がイケメンだったから、道を譲ったのではなく。
彼があからさまに、道を塞ぐ様にあるいていたので、相手に不快な思いをさせる事なく、一言も声をはっする事もなく、自分たちが一番効率的に移動出来る方法が、廊下の隅により、相手をやり過ごす事だったので、そうしただけだった。
美由にしろ、桐野にしろ、話しているパートナーがいなければ、立ち止まる事なく、体を横にしてすり抜けていたのだが・・・。
二人は、イケメン男をやり過ごし、歩きはじめる。
「今の人、イケメンだったわね。」
桐野はそう言った。
「そうでしたっけ?」
「まあ、私はああゆうのはパスね?」
「どうしてですか?」
「中学校時代、私、ああゆうのに惚れて、痛い目をみたから。」
「ええ?そうなんですか?」
「桜間さんは、そういうの無いの?」
「うーんと、私は小学校時代、アイドルや、クラスのモテ男子に憧れていましたけど、女同士の血で血を洗う戦いを見てて、正直、ああはなりたくないと思ってからは、恋愛はさっぱりで・・・。」
「私も桜間さんも本当に灰色の高校生活を送っているわね。そう言えば、須王寺さんとかどうなのかしら?全然浮いた話を聞かないけど。」
「さあ。」