鬼の回収
ガラミンはテラミルの言葉を聞いて抵抗をやめた。
先ほどの力強い抵抗が嘘であるかのように力が抜けていき、変身が解けて制服姿に戻ると、そのまま意識を失ってしまった。
テラミルは意識を失って崩れるように倒れる朋の体を腕でしっかりと抱き絞める。彼女は朋が息をしているのを確認した後、地面に倒れている鬼の方を見た。
鬼は生きているようだが、その場から起き上がろうしない。
「あんた、早く逃げな。その姿を他の人達に知られたくないんだろ?多分、もうすぐ、この鬼を追ってた連中等がここに来るよ。」
赤服の女が、テラミルにそう言って来た。
「でも、この鬼を助けないと。」
「そんな事言っても・・・・。」
「このままだと、死んでしまうので、そうなったら私も朋ちゃんも後味が悪いし。」
「でも、どうするつもり?」
「見てて下さい。」
テラミルは、退魔師の女に朋をたくし、鬼の傷口に手をあてる。青白い光が鬼の傷口を包み込んでいく。傷口はみるみるふさがっていく。
「凄いねあんた。そこまでできるんだ。」
退魔師の女は、朋を抱きながら、片手で鬼の手を握る。
テラミルは彼女のその行動に不審な表情を浮かべる。
「大丈夫だって、私も回復の術ぐらい使えるのよ。あんた程じゃないけどね。」
彼女の行為に、テラミルは笑みを浮かべ、傷口を塞ぐことに全力を尽くす。
『お願い、生きて・・・。」
テラミルはあらかたの傷口を塞ぐ。
「後は、運を天にまかすだけね。」
赤服の女はそう言った。
「大丈夫でしょうか?」
「わかんないわね。」
テラミルは美由へ戻った。
その時だった。朋が目を覚ました。
「あら、お嬢さんおはよう。」
「ええ?何で私は、あなたに抱かれているんですか?」
「気にすることはなくてよ。」
「そうだよ、朋ちゃん。朋ちゃんは鬼襲われて、気を失ってただけだから。」
朋は足元にいる鬼を見る
「ええ。この鬼なんですか。凄く弱っているのです。」
「後で説明するから。」
「あんた達、そんなこと言っている場合じゃないよ。誰か来たよ。」
「朋ちゃん、急いで存在薄めて。」
朋と美由は同時に自分達の存在を最高レベルまで薄めた。
それを見た退魔師は驚きを隠せなかった。
『何?この子達?ここまで消える事が出来るの?てか、私の目ですら認識が出来ないぐらいじゃん。』
美由は朋の手を繋ぎ、人が来た方と反対側へ逃げていった。