朋のピンチ
鬼はズドーンという音を立てて崖から落ちてきて、何事も無かった様に着地する。
体は雨でずぶ濡れになっている。
朋は片手に赤い傘、片手にブルドッグを抱きながら鬼を見ていた。
『なに?』
鬼は突然、右手を大きく振り上げ、朋に走りよって来て、拳を振るった。
朋の体は飛ばされ、赤い傘と犬が転がる。
殴られる瞬間、青白い光を放って朋の体、全体を包む球体シールドが自動的に発動して何とかダメージを受けずにすんだが、完全にダメージをころす事ができず、体が飛んだのだった。
彼女の体が宙を舞っている間に、朋の意思と関係なく魔法少女ガラミンへと変身し、無事に地面へと着地する。
「あんた、何その格好?」
「ガラミンです。」
「なに、それ?」
「わかりません。勝手に変身したんです。」
美由は全校集会に向かうため、体育館に向かっていた。赤服の女も美由に続く。
「?」
赤服の女は、何かに気づいた。
『凄い魔法の力。すぐ近くだ・・・。この学校の中』
女は思わず、美由の襟首を首を掴み、強引に引っ張る。
「ちょっと、あんた着なさい。」
「え?何ですか?」
美由は首が苦しいので、抵抗はあまりせず、ずるずると引きずられる。
「凄い魔法の力が発動してるのよ。あんたの目も何か役に立つだろうからちょっと、着なさい。」
「わかりましたから、離してください。」
女は美由の襟首から手を離す。
美由は首を片手でなでる。
「ほら、急ぐよ。」
「はい。」
そういって、二人は走りだした。
「あんた、目は良いのに、魔力探知についてはおニブなのね。ここまで強い力なのに。」
「・・・・。」
美由がおニブなのは魔法少女独特の魔法抵抗力のせいだった。魔法への耐性が普通の姿でも強いため、感知できる魔力が感覚に届き難いのだった。
二人は裏庭にやってくる。
そこには、鬼とガラミンとブルドックの化け物がいた。
ガラミンは鬼の前でへたりこみ、戦意を喪失している。
「ちょっと、あんた。戦わないところされるわよ。」
ブルドッグがガラミンに叫ぶ。
鬼はガラミンの首を片手で掴み、首を絞めた。
「ちょっと、あの子やばいんじゃな・・・。
その光景を見ていた美由はテラミルに変身し、超加速を使って鬼に向かって駆け出していった。
「な、何?あんた?その格好?」
赤服の女の言葉を無視し、そのまま走り続ける。
「ガラミン。」
テラミルはそう叫ぶ。
「テラミル・・。」
ガラミンは薄れゆく意識の中で、テラミルの姿を見た。