鬼と朋
朋と加奈は一緒に登校していた。
本日は雨で、二人とも傘を差しての登校だ。
「雨もたまには良いけど、これから毎日となるとおっくうよねぇえ。」
そう加奈が不平を述べる。
「私、良く、傘を置き忘れるから、びしょ濡れになってママに怒られるのです。」
朋は雨より、服を汚してママに怒られる方が問題だった。
「朋ちゃん、すぐ、風邪ひきそうだもんね。」
「あうー。心配される程、体は弱くないのです。でも、毎年、インフルエンザにはかかるからママに心配させてしまうのです。」
「やっぱり、風邪引く体質じゃん。」
「ぶー。インフルエンザと風邪は違うのです。」
「どうちがうの?」
「風邪は色々とウィルスがあるけど、インフルエンザはインフルエンザウィルスという、ひとつのウィルスが引き起こすのですよ。」
「へぇえ。」
加奈はそう言った後、あたりを見渡した。すると、桐野と美由を発見する。
「見てみて、桜間おねぇえ様と、桐野先輩だ。あの二人、最近、仲が良いよね。」
美由も美由と桐野を見る。後ろから赤服の女と黒い大型犬も一緒についてきている。
『あの、女の人、美由先輩をつけてる・・・。』
「加奈ちゃんいいなぁあ。美由先輩をおねぇえ様と呼べて。私は美由先輩に止められてるし・・・。」
「焼かない。焼かない。その代わり、仲がいいでしょ。それより、桜間おねぇえ様も、須王寺おねぇえ様と、桐野先輩に挟まれて、おねぇえ様としての貫禄が出てきたよね。私がばら撒いた噂も無駄にならずにすだわけだ。」
「私にとっては、私だけの美由先輩でいて欲しかったのです。」
「朋ちゃんは贅沢だなぁあ。王子様タイプのおねぇえ様は女の子の憧れよ。それを独占しちゃ駄目よ。」
「美由先輩がどんどん遠くに言ってしまう。」
朋は教室に着き、時間があったので、全校集会前に、雨の学校を歩いてみたくなった。
一人で散歩に出かける。
水色に咲く紫陽花やデンデンムシを見ながら、裏庭へと来ると、突然崖の方から何かが落ちてきた。
その落ちてきたものは、朋に走りより胸に飛び込んでくる。
朋は思わず抱きしめてしまうが、濡れており制服が濡れてしまった。
それはこの前であったブルドッグだった。
「あんた、良い所にいたわ。」
「へ?なんです?」
朋がそう言った瞬間、崖から大きなものが落ちてきた。
それは鬼だった。