鬼の説明
退魔師の女は、美由の部屋にいた。
そこには美由もいて、勉強をしていた。
赤服の女は自分で持ち込んだセンベイをバリバリ食べている。
「ねぇえ聞いてる?鬼よ鬼。化け物といいながら鬼よ。わかる?」
美由は後ろでセンベイを食べながら愚痴をこぼしている女の方を向かず勉強を続けている。
「はいはい、そうですか。」
「あんたも勉強何かしてないで、一緒にセンベイでも食べて私の話聞きなさい。」
美由は退魔師の女の振り返る。
「なんですか。いきなり、人の部屋にやってきて、センベイをバリバリたべて、鬼とかわけの分からない話を。あなた、私を密かに見張っているんじゃなかったんですか?」
「だって、退屈なんだもん。」
「退屈だったら、見張るのやめりゃあいいじゃないですか。」
「ええ。だって、知り合いがいるわけじゃないし。愚痴こぼせるのあんたしかいないから。」
「まったく。」
美由は椅子から立ち上がり、センベイを掴んでパリっとたべる。
「で、何ですか?もう少しわるように順序だてて言ってください。」
「昼さ。あんたと別れたじゃない。」
「ええ。」
「その時、今朝のスーツを買い取ってくれる人に会ったのよ。」
「はあ」
「そいつが、昨日、隣の市で化け物のおおとりものがあって、逃がしたんで、その化け物に懸賞金が懸けられたっていうのよ。で、さっそく調べたらさ、一千万も懸かってさあ。これはやらねばと思ってよくよく化け物の特徴をみたらさあ。どうみても鬼なのよ。で、知り合いの退魔師とかのページとかをチェックしてみてたら、どうも、本当に鬼みたいでさあ。」
「あの?鬼って何ですか?化け物と違うんですか?」
女はリスの様に「カリカリカリカリ」とセンベイをかじる。
「あんた、鬼しらないの?」
「化け物の一種じゃないんですか?」
「まあ、普通の人の認識ならそうか。鬼は人間よ。人間が化け物化した存在。」
「そうなんですか?」
「そうよ。まあ、化け物で人間みたいなのも鬼と呼ぶ事もあるけど、私らの間では鬼といったら、人間が化け物化した存在ね。」
「へぇえ。で、鬼退治をするのと、化け物退治をするのとで違いがあるんですか?」
「当たり前じゃない。鬼は化け物化したとはいえ、人間よ。殺したのがバレれば殺人罪で即逮捕よ。1000万で人殺しろって、酷くない?気づかなかったヤツがもし殺しでもすれば即、警察行きよ。私はそこに怒っているわけ。何を考えているのかしら。懸賞金懸けた連中。」
「ところで、鬼って放置して何か問題でもあるんですか?」
「あるやつもいれば、無いやつもいるわね。理性を失って暴れまわるヤツもいれば、理性を持って悪い事をするヤツもいるし、かわいそうな青鬼だっけ?あんな、平和な鬼のままのヤツもいるわね。」
「理性を持って悪いことって・・・。」
「鬼になるのには色々あるけど、自ら強大な力を欲して鬼化する者もいれば、霊的な力を異常に浴びて鬼化する者もいるし、何か負の感情が強すぎて鬼化する者もいるわね。」
「色々とあるんですね。」
美由はセンベイを「ぱっき」と食べる。
「見た目は千差万別、鬼化する前のまんまのもいるし、体が大型化するのも、妖怪みたいになるのもいるわね。体が変化しても、人間の姿に戻る事が出来るやつもいるわ。」
「へぇええ。鬼化して、人間の姿になれるんでしたら、見つけるのが大変そうですね。」
「まあ、鬼は人間化してても、力を放出しているから、ある程度、見える目があればだいたいわかるわよ。」
「鬼って、あなたみたいに消える事も出来るんですか?」
「消えれる方が多いけど、消えることが出来ないのもいるわね。ベースは人間だから消えてない方が普通の状態。そこらへんにいる動物の化け物は消えているが普通みたいだけど。何が違うのかしらねぇえ。」
「で、もし、鬼と戦うとしたら、あなたならどうするんですか?」
「逃げるわね。」
「逃げるんですか。」
「そう、だって、動物は殺しても器物破損ですむけど、人間を殺せば殺人罪だから。殺さない様に取り押さえられるならそうした方がいいんだろうけど、生憎わたしの手札にそんな便利なものは無いの。」
『魔法少女も無いなぁあ。蛙主とかは、縛る魔法をもっているけど。』