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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
7話 鬼
122/270

スーツについて

 美由はやっと、二人から開放され校門を出る。

 二人ともこの後、何か用事があるらしく、一緒に帰る事はなかった。

 美由はため息をつく。

 「ふう」

 「あら?ため息なんてついていると、幸せが逃げるわよ。」

 美由が顔をあげると、そこには赤服の女と黒犬がいた。

 「まだ、いたんですか?」

 「あら、悪い?」

 「悪いに決まっているじゃないですか。」

 二人と一匹は歩きはじめる。

 「ところで、今朝、バスの中で男の人と話してたじゃないですか?悪霊がどうのと。」

 「あなたから、話を振るなんて珍しいわね。」

 「気になったから、聞いているだけです。たまにああいう黒いモヤがかかった人を見るので、それって悪霊なのかと。」

 「へえ。」

 「なんです?」

 「あんた、私と同程度ぐらいは見えてるんだ。ちょっと見えるだけかと思ってたけど。」

 「それが何か?」

 「うらやましいわねぇえ。私も見える才能はあったけど、動物が化け物化したのが輪郭が見える程度で、修行してやっとここまで見えるようになったのに、あんたは天然でそのレベルなんだ。」

 『私、何やら余計な事を言ったらしい。』

 美由はバス停を素通りする。

 女はバス停前で立ち止まる。

 「あら?バスは使わないの?」

 「私は歩きです。バスを使いたければ勝手にどうぞ。」

 「連れないわね。」

 女は歩きはじめる。

 「ところで、悪霊の事なんですが、あの男の方ではなく、あなたが受け取ったスーツの方についていたように見えたのですが。」

 「そうよ。」

 「何で、男の方に魔法を使ったんですか?」

 「そっちの方が説得力あるでしょ。どうも、悪霊のせいでちょっと見えているみたいだったし。」

 「何の魔法だったんですか?」

 「ちょっとした、元気を与える魔法。悪霊のせいで疲れていたみたいだったし。」

 「そうなんですか。ところで、あのスーツはどうしたんですか?」

 「悪霊を呪術的に封印して、あるところに保管しているわよ。」

 そこは近くの駅のコインロッカーであった。

 「悪霊を払わないんですか?」

 「何で?」

 「何でって、危ないからに決まっているじゃないですか。」

 「そんなもったいない。」

 「もったいない?」

 「ええ。悪霊がついたモノって、魔法の道具なのよ。悪霊がついているというだけで、魔力を帯びている事が確実な。」

 「それは、そうかもしれませんが、悪霊ですよ。」

 「あら、悪霊のスーツだけでも霊的、魔術的な防御力はかなりのものよ。下手に人間が魔法強化した服なんかより遥かに強力な。」

 「そんなんですか?」

 「それに、魔法の道具を作る雛形になるから、高く売れるのよ。」

 「買う人がいるんですか?」

 「そりゃあ、いるから、あんなオヤジのスーツを引きとったわけで。」

 「話は変わりますが、悪霊って、どうやって取り除くんですか?」

 「そんなもん。大抵はお風呂に入れば落ちるわよ。」

 「そんな、汚れみたいな・・・・。悪霊ですよ、悪霊。」

 「あら、あなた、日本書紀とか読んだこと無いの?」

 「無いです。」

 「日本人だったら、現代訳版ぐらいは読んだ方はがいいわよ。」

 「今度、機会があったら読みます。で、何でお風呂なんですか?」

 「お風呂である必要は無いわよ。水を浴びれば落ちるわよ。(みそぎ)って言い方の方がいい?」

 「禊ですか。」

 「ヨーロッパでもけがれを落とすために沐浴(もくよく)要するにお風呂に入るのはメジャーな手段だし。学校で習わなかった?ローマの聖職者の家には幾つもお風呂があるとか。」

 「知りませんねぇ。」

 「まあ、本当に強力で、かなり強くとりついた悪霊にはあまり効かないけど、普段、そこらへんにいる様な悪霊のたぐいなら、風呂に入るだけで充分ね。」

 「へぇえ。悪霊を祓うのに聖水とか使うわけじゃないんですか?」

 「聖水なんて大層なもん使う必要なんて無いわよ。綺麗な水で充分よ。」

 「と、いうか、そこらへんに悪霊ってゴロゴロいるんですか?」

 「ゴロゴロって程じゃないけど、結構いるわね。でも、風呂に入れば消えるから。問題は無いでしょ。服にだって、悪霊はつくけど、それも洗濯してしまえば、大抵一発ね。」

 「本当に汚れみたいな扱いなんですね。悪霊って・・・ところで、あのスーツはどうなんですか?」

 「あれは、結構、強力みたいで、洗濯では無理じゃない?」

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