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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
7話 鬼
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歩く

 補習終わりに、美由は須王寺と桐野に捕まっていた。

 3人しかいなくなった教室で、美由は何故か一人歩かされていた。

 「力強くはあるけど、格好良くないわねぇえ。歩くというよりウォーキングね。」

 「そうねぇえ。優雅さが無いわねぇえ。」

 二人とも好き勝手な事を言っていた。

 「あのー。別に歩き方なんてどうでも・・。」

 「「よくない。」」

 二人同時に美由に注意する。

 「あう。」

 「ひとまず、桜間さんって、どんな歩き方してるの?」

 桐野は腕組をしながら、そう聞く。

 「え?まず、歩き出す時は、頭を前にたおして、頭の重みで上半身を倒して、その上半身が落ちる力を利用して、右のかかとからひねるように。踏み出し、スピードがある程度出たら、上半身をあげて、背をピンとして、腰を5cmぐらい落とす感じにして、なるべく歩幅を大きくしながら・・・。」

 「ああ、歩きはじめからして優雅でない。」

 「頭を前に倒してその重みを利用するのはいただけませんね。」

 二人は美由の歩き始めに駄目だしをする。

 「こっちの方が早く加速できるので。」

 「スピードは問題ではないの。いい?大事なのは優雅さよ。」

 「登下校中ならそれでいいかもしれないけど、学園内でそんな効率を求めちゃ駄目よ。」

 『何で私が優雅さなんぞを追求せねば・・・。できる限り目立たない感じがいいだけどな。』

 須王寺は桐野を見つめ、ニッヤっとする。

 「桐野さんいいもの持ってきたわよ。」

 「へえどんなの?」

 須王寺は自分のカバンからハイヒールというか黒いピンヒールを取り出す。

 「おお。」

 美由ははじめて、ピンヒールを見た。普通の靴屋には無いからだ。あったとしても、少し足のサイズが大きい自分にあうヒールがあるとは思えない。

 「あの、誰がそれを履くのでしょうか?」

 「もちろん。桜間さんに決まっているでしょ。」

 「私の足のサイズに合う、そのサイズのは・・・。」

 「大丈夫よ。ちゃんと調べてるから。探すのに手間取ったけど。」

 「さあ、桜間さん履いて。」

 美由は一生の中で履きたくないと思っていた靴がある。それがピンヒールだった。そして、目の前に自分用のピンヒールがあり履けと強要されている。

 しかたないので、美由は上履きを脱ぎ、ヒールを履いた。

 少し足が入り難く、指が変な感じになっている。

 「桜間さん履き心地はどう?」

 「ちょっと、指先が窮屈な感じです?」

 「どれくらい?ほんのちょっと?」

 「ええ。だったら問題無いわね。きついぐらいなら変えないとだめだけど。」

 「さあさあ、立ち上がって。」

 美由は椅子から立ち上がる。ただでさえ身長のある美由がかなり大きく見える。

 「なかなか、色っぽいわねぇえ。桐野さん。」

 「そうですねぇえ。須王寺さん。」

 「バランスを全然とらなくても、立てるんですね。立つだけでガクガクになると思ってました。それに、足にはそんなに負担はこないんですね。でも、その代わりお腹のあたりが結構きますけど。」

 「あら、ハイヒール履いた事が無いの?」

 「私の足に合うおしゃれ靴はそうそう無いと思いますが。」

 「そんだけヒール高が高いと、歩くのに結構コツがいるわよ。」

 美由はおそるおそる、ぎこちなく蟹股気味に歩きはじめる。

 前かがみになろうとするが、靴の形状がそれを許さない。と、言うより倒れそうになる。

 「桜間さん。危ないわよ。そんな歩き方じゃ。」

 「え?」

 一瞬気を抜いたら美由は横に倒れた。

 「あちゃー。」

 「はい、立ち上がる。そんな蟹股みたいな歩き方するから倒れるのよ。さっきやったウォーキングみたいに歩きなさい。」

 「はい。」


 1時間ほど、二人のしごきは続いた。

 頭の上に教科書を載せられ、落とさない様に歩かされるのだが、美由は頭を前に倒す癖があるので

歩き出しでそれがなかなかできない。

 できる様なったら、今度は腰の動きが男っぽいと指摘される、腰ではなくお尻を振る感じで歩けといわれる。

 美由の腰全体を満遍なく使って歩幅を稼ぐアスリート的な歩き方だ。そのため、色っぽさはない。

 『プリプリ腰を振るのはなるべくしたくないんだけどなぁあ。』

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