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魔法少女ガラミン  作者: からっかす
7話 鬼
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バスの中と美由の部屋。

 バスが走り出す。

 立っている3人の娘は、慣性の法則で後ろに引っ張られるが、つり革を強く握りその場に留まろうとする。

 「まあ、バスって立って乗ると、こんなに体が揺れるんですね。」

 須王寺(すのうじ)が妙な文句を言っている。

 「今日は、まだ、マシな方よ。」

 そう桐野が切り返す。

 カーブにさしかかり、Gがかかる。

 須王寺(すのうじ)は立ってバスに乗る慣れてないのか足を一歩踏み出した。

 「どうかならないんですかね。」

 「須王寺(すのうじ)さん。こんなもんですよ。」

 美由は須王寺(すのうじ)をいさめる。

 「普段、あんたが乗っている車の性能と運転手が異常なのよ。グラスにお酒ついでも倒れないんでしょ。」

 「ええ。運転手さんが、そんなこと言ってましたね。」

 「ところで、須王寺(すのうじ)さん本当にバスに乗ったことないんですか?」

 「あら、誤解がある言い方をしましたわね。学校での遠足とか修学旅行、社会化見学の時はバスに乗りましたわよ。でも、こういう通学の時に乗るバスは乗った事がありませんって、言ったつもりだったんですけど。」

 「だったら、バスが結構揺れるのは分かるでしょ。」

 「あの時は座ってましたからねぇえ。立っているとこんなに慣性の力が働くなんて。」


 赤服の女は3人を見て思った

 『仲がよろしいことで。』


 しばらくすると、「あ、次です。」と、美由が言った。

 美由がボタンを押そうとする。

 「ねえ、桜間さんちょっとまっていただける?私に押させて。」

 「どうぞ」

 須王寺(すのうじ)がボタンを押すと、ブーという音がしてランプが光った。

 「わあ。面白いですね。」

 須王寺(すのうじ)は子供の様な笑顔で光るボタンを見ていた。

 「あら、桜間さん。私の家と同じ降り場じゃない。」

 そう桐野が言う。

 「え?そうなんですか?桐野さんの家って、私のうちの近くなんだ。」

 「奇遇ね。これから、一緒に登下校できそうね。」

 「私は歩き専門なので、駄目ですよ。」

 バスは美由の家があるバス停まで来る。

 美由がまず、紙とお金を機械に投げ入れる。それをみた須王寺(すのうじ)もドキドキしながらお金と紙を投げ入れた。桐野は運転手に定期を見せ、犬と赤服の女は見えて無いのを良い事にお金を払わず降りた。

 美由はバス停に降りた4人と1頭を見て思う。

 『大行列だな・・・・。全員まねかねざる客なわけだが。』

 「さて、桜間さんの家はどこかしら?」

 そう須王寺(すのうじ)が聞いてくる。

 「こっちです。」

 美由はそう言って、歩きはじめる。

 残りの3人と一匹がゾロゾロと美由の後をついてきた。



 しばらく歩くと、美由の家が見えた。表札には『桜間』と書いてある。

 美由は立ち止まる「ここです。」と言った。

 「あら、桜間さんのおうちってここだったの?本当に近くね。あの子を見たって空き地ってあの分譲地の真ん中に家がたってなくて、水道管が置いてあるところ?」

 「ええ、そうですよ。」

 「なるほどね。後で一人で行ってみるわ。」

 美由はその言葉を聞いてほっとした。猫に迷惑をかけなくてすむからだ。

 「さあ、あがりましょう。桜間さんの部屋楽しみ。」

 そう、須王寺(すのうじ)が提案する。

 「私の部屋。狭いですよ。」

 『ところで、あの赤服の女の人と犬は一緒に来るつもりなんだろうか?』

 そう思ってみていると、女は隣の家のブロック塀に肩をつけ、犬もそこに座り込んでいた。

 どうも中に入ってくるつもりはないらしい。



 美由は鍵を取り出し、扉のレバーに手をかけると、扉が開いている事に気づく。そのままレバー押し、扉を開ける。

 「ただいまぁあ。」

 扉を開けると、弟が上半身裸で、牛乳を飲みながら廊下を歩いていた。

 「こら、友達が着てるんだから、上を着なさい。」

 弟の返事が無い。弟は須王寺(すのうじ)を見ていた

 『綺麗な人だなぁあ。』

 「こら。」

 「はいわかったよ。」

 そう言って、自分の部屋に向かっていった。

 「みなさんこっちです。」

 そう言って、靴を脱ぎ家へ上がり、階段を登って、美由の部屋へとやってきた。

 「ここが私の部屋です。」

 「狭いのね。」

 「ええ、元々、弟と妹と同じ部屋だったんですけど、私が夜遅くまで勉強するんで追い出されてしまって、元々物置だったこの部屋にきたんです。」

 「まあ、桜間さんって布団派だったの?てっきりベットかと」

 部屋の結構な面積を占領している畳まれた布団を見て、須王寺(すのうじ)が言う。

 「こんな狭い部屋にベットが置けますか・・。」

 「それにふかふかではなそうですし・・。」

 「まあ、いいんじゃない?健康にはベッドやフカフカの布団より、こういった布団で畳みで寝るほうが健康にいいらしいわよ。」

 そう桐野が言う

 「あら、そうなんですの?」

 「ベッドやフカフカの布団は腰に来るらしいから、寝返りがうちやすいこっちの方が良い見たいよ。」

 「へぇえ。」

 「もう少し、女の子らしい、カワイイアイテムがあったりとかすると思ってましたのに。」

 「進学校の女子高生なんてこんなもんよ。まあ、それよりも」

 ずかずかと、桐野が美由の部屋に入り込み、本棚をチェックする。

 「ふむふむ。」

 本棚に詰め込まれている参考書や問題集をひとつひとつチェックしていく。

 「なかなか、良いのがそろっているわねぇえ。おお、予備校の先生が書いた日本史と世界史の本まである。問題集が物足りないわね。基礎と基本レベルばっか。今はこれくらいでもいいかもしれないけど、夏が終わる頃には難しいのもやっておかないと厳しいわよ。あと、センターの過去問も入れとかないと駄目よ。ん?黄色と緑があるのに白と赤本が無いじゃん。」

 桐野は美由の方に顔を向ける。

 「白はこの前、後輩の子にあげたんです。赤は私はやるつもりがないので。」

 「ええ。桜間さんって1流か2流の大学を目指してるんじゃないの?」

 「私は近くの国公立大に行くつもりなので。」

 「なんで?」

 そう桐野が怒った顔で聞く。

 「そうですよ。桜間さん上を目指さないと駄目です。」

 須王寺(すのうじ)も起こった顔をしていた。

 「うちにお金が無いので、行けるとしたら、そこか、安い専門学校に行こうかと。」

 「そういう理由なら仕方ないわねぇえ。」

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